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朝鮮の論調 8月

 第2回北南首脳会談開催決定の一報に世界が驚いた8月(8日発表)。朝鮮での水害復旧を受けて延期にはなったものの、来月2〜4日に予定通り行われる見通しだ。また、7月に行われた6者団長会談で合意された5つの作業部会のうち、「経済およびエネルギー協力作業部会」(7〜8日)、「非核化作業部会」(16〜17日)、「北東アジアの平和・安全メカニズム作業部会」(20〜21日)の3つが開催された。9日には、あらかじめ稼働停止されていた核施設の封印および監視カメラ設置の作業終了をIAEAが発表。これで初期段階措置が完了し、6者プロセスは次の段階へと順調に進展している。

−対米 合同軍事演習を強く非難

 ウルチ・フォーカスレンズ合同軍事演習を非難する論調が目立った。

 3日に祖国平和統一委員会代弁人が「ウルチ・フォーカスレンズ実施発表に関する談話」を発表したのを皮切りに、▼「朝鮮半島非核化過程に逆行する挑発行為」(7日、労働新聞)、▼「趨勢に逆行する厳重な敵対行為」(8日、労働新聞)と続けざまに配信された。

 そして10日には、「ウルチ・フォーカスレンズ強行なら2.13合意と6者会談は破局に直面する」と題する声明を板門店代表部が発表した。同日に板門店で行われていた朝米軍部大佐級会談で、米軍側から合同軍事演習実施計画の公式発表を受けてのものだった。

 板門店代表部は声明で、合同軍事演習実施公式発表に対して厳重に抗議するとともに、これに対応するための朝鮮人民軍の立場を表明した。

 その中で、「朝鮮人民軍は大規模戦争演習が強行される条件下において、これに対応する強力な打撃手段を完備するために全力を尽くすだろう」とし、南朝鮮軍部に対しては「米国の要求に屈服し、過去の戦争時のように米軍の銃弾となって立ちふさがるのなら、わが民族は再び同族同士で血を流すという惨禍を免れないことを肝に銘じなければならない」と呼びかけ、分別ある行動を促した。

 そして、合同軍事演習開始日(20日)前の18日には、「対話と戦争演習は両立しない」(労働新聞)とする従来の主張を再度配信し、「朝鮮半島の平和と統一に否定的な影響を及ぼす」と警鐘を鳴らした。

 にもかかわらす、米・南軍部は8月下旬に合同軍事演習を強行した。

 これを受けて朝鮮外務省代弁人は20日、朝鮮中央通信社記者との会見で「軍事的敵対行為には、対話の立場とは別途に、強力な対応策が必要」とし、「われわれは、対話、対決のいずれにも準備はすべて整っている」と語った。

 その後も合同軍事演習非難の論調が続いた。

−対日 安倍政権批判止まず

 先月に続いてほぼ毎日のペースで配信された。参院選における与党惨敗を受けての安倍政権批判がほとんどだった。

 5日には、ASEAN地域フォーラム(7月30日〜8月2日)で行われた朴宜春外相の演説内容が配信された。

 朴外相は演説で、「こんにち、アジアに存在する主な不安定要素の一つは日本である」と断言し、「過去、アジアを侵略し、特大型の反人倫犯罪を敢行した戦犯国家として、当然の謝罪と補償を行い過去を清算する義務を有する」とした。

 続いて総連弾圧問題も取り上げ、「日本各地で狂乱的に行われている総連弾圧策動は、歴代日本のどの政権も行わなかった、わが朝鮮に対する重大な挑発であり主権侵害行為である」とあらためて糾弾した。また、▼「参院選敗北は安倍自身が招いたもの」(3日)、▼「民心の審判を受けた『政治クラブ』」(8日)、▼「鉄面皮な政治未熟児」(14日)−と、安倍政権を酷評する配信が目に付いた。

 他には、軍事大国化や「拉致問題」の国際化策動、関東大震災朝鮮人虐殺事件を非難する内容が配信された。

−対南 北南首脳会談開催を発表

 8月8日、「盧武鉉大統領の平壌訪問に関する北南合意書」が発表された。

 そこには、「歴史的な6.15北南共同宣言と『わが民族同士』の精神にのっとって、北南関係をより高い段階へ拡大、発展させ、朝鮮半島の平和と民族共同の繁栄、祖国統一の新たな局面を切り開くうえで重大な意義を持つことになるであろう」と記された。

 その後、朝鮮で大規模水害が発生。「人民生活の安定化が急務」であるため、会談を10月2〜4日に延期する通知文が18日に北側から伝達、発表され、南側もこれを了承した。

 他には、ハンナラ党関連が3つ、合同軍事演習関連1つが配信された。大統領選にはとくに触れていない。配信は依然、全体的に少ない傾向にある。

 8月を振り返るとき、まずは北南首脳会談開催のニュースを挙げねばなるまい。何が話され、どんな合意がなされるのか。期待をもって見守りたい。

 「非核化作業部会」の数日前に北京入りしたヒル国務次官補は13日、朝鮮大使館で金桂官次官と会談を行った。また同日、金次官は中国の武大偉外務次官と、翌日にはヒル次官補が武外務次官とそれぞれ会談したことが報じられた。垣根なしに対話が行われている様子が伝わってくる。

 一方、朝鮮の水害に対して、各方面から多大な支援が寄せられている。南朝鮮や米国も6者プロセスとは別次元で「人道上の支援」を行った。しかし、日本だけは「…支援が欲しければ『拉致問題』云々…」と、人命被害まで出た隣国の水害をあくまで外交の「取引材料」として利用する構えだ。相変わらず「空気」が読めていない。

 安倍首相の辞任を受けて御家騒動真っ最中の日本政界。やれやれ、6者会談まで気が回るのかどうか。次期首相をめぐってドングリたちが背競べに忙しい間にも、6者プロセスは着実に進展していく。(まとめ=韓昌健記者)

[朝鮮新報 2007.9.19]