東京で日朝国交正常化を促すシンポ |
「反安倍」で連帯、運動活性化を 「日朝関係をここまで悪化させた張本人は安倍政権だ」−シンポジウム「日朝国交正常化即時実現−米国最優先の外交からアジア重視の外交へ」(主催・同シンポ実行委員会、代表−槙枝元文・日朝技能者交流センター理事長)が4月26日、東京都千代田区の日本教育会館で行われた。100人を超える日本の市民らと在日同胞、関係者らが参加したシンポジウムでは、「拉致問題」一辺倒で朝鮮との対決姿勢を露わにしている安倍政権の外交政策を批判し、「反安倍」に的をしぼりながら日朝関係改善のための市民運動を活発化させていく問題などが論議された。 「関係改善で懸案解決を」
主催者代表の開会のあいさつで始まったシンポジウムは、武者小路公秀・大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター所長の司会で行われ、中江要介・元中国大使の問題提起に続き、清水澄子・朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表、吉元政矩・元沖縄県副知事、品川正治・経済同友会終身幹事が発言した。 中江氏は、▼日朝国交正常化とは何か▼拉致問題と国交正常化▼国交正常化のために何が必要か▼日朝国交正常化と北東アジアの平和と安定−という4つのテーマで問題を提起。朝鮮との国交正常化は日本が負っている国際義務だということを歴史的経緯を踏まえて説明し、平壌宣言の実践の必要性を強調した。 また、拉致問題をはじめとする懸案問題は、朝鮮との関係改善、国交正常化を通してのみ解決できると断言し、日本が拉致問題にこだわり続けると6者の中で孤立を避けられないと警鐘を鳴らした。
清水氏は、祐天寺遺骨問題、「従軍慰安婦」問題などの未解決の懸案事項を列挙しながら、日本は自分の被害問題に関しては騒ぐが、自らが犯した過去の犯罪には無関心だと批判した。 また、4月25日にあった総連組織に対する強制捜索に抗議の意を示し、総連と在日同胞は制裁の対象ではなく保護されるべき対象だと指摘。歴史認識は日本の政治家が最も欠如していると述べた。 吉元氏は、6者会談参加国の中で朝鮮に対する制裁を強化しているのは日本だけだと指摘し、日本は拉致問題にこだわりすぎて誤った方向に進んでいると述べた。そして、日本国憲法9条を守ることと日朝国交正常化は同一の線上にあるとしながら、このための運動の必要性を強調した。 品川氏は、拉致問題を複雑化させ国民に反朝鮮感情をあおって今日のような状況をつくったのは安倍首相だと指摘しながら、日朝国交正常化のための運動を「反安倍」に的をしぼって行っていこうと呼びかけた。 客席から活発な意見
シンポジウムは午後6時半から約2時間半にわたって行われた。限られた時間の中で、客席から8人が発言した。 ある学者は、横田めぐみさんの遺骨が日本側によって一方的に「ニセ物」と断定された経緯と、その後日本政府が、朝鮮側が要求した遺骨の返還、第3国の研究機関による検証などをすべて無視していることなどについて説明した。 また、同胞女性は、在日朝鮮人弾圧の現状と総連に対する不当な政治弾圧の本質を説明しながら、日本の市民との連帯を呼びかけた。 このほかにも発言者らは、対朝鮮人道支援、イラク派兵反対運動など、自分たちが繰り広げている運動について、パンフレットを配って説明し、朝鮮半島核問題、「拉致問題」に関する意見を述べた。 まとめの発言をした武者小路氏は、▼在日朝鮮人と連帯する市民レベルの交流が大切であり▼日本政府とメディアが「拉致問題」の真相をわい曲している状況で、これに関する正しい情報を共有すべきであり▼日朝国交正常化を始発点にして平和憲法を守り、米国最優先の外交からアジア重視の外交に変えていくべきだ−と語った。(姜イルク記者) [朝鮮新報 2007.5.11] |