「HEU計画」に関する専門家、関係者の発言 |
北朝鮮が小規模のガス遠心分離計画のための遠心分離機や設備を入手したことを暗示する十分な証拠はあるが、計画の進展や完成を示す情報はない。わずか10数基の遠心分離機を伴う小規模の遠心分離計画をまとめることと、数千基の高度な遠心分離装置を伴う包括的で大規模な濃縮ウラン生産工場を建設し稼動することには大きな差がある。北朝鮮が入手したアルミ管は国際的に簡単に入手できるもので、施設の存在や建設の予定を示す信頼に足る基準ではない。よりデリケートな部品の入手情報などの確たる情報なしでは、大規模ウラン濃縮施設の建設計画や、その完成日時に関する主張は憶測に過ぎない。(デービッド・オルブライトISIS所長、2月23日発表の報告書) 北朝鮮が90年代にパキスタンから遠心分離機器を入手したことは間違いないが、どこまでウラン濃縮能力を取得したのか、それは高濃縮ウランであるのか(または、低濃縮ウランであるのか)。そうした肝心の点は少なくとも02年秋の時点では、ブッシュ政権は確たる証拠も情報も持っていなかった。(船橋洋一、朝日新聞コラムニスト、著書の「ザ・ペニンシュラ・クエスチョン」) (米国が6者会談で「HEU問題」を議論の対象から除外したのは)自らの初期段階情報の正確性について疑問を抱きはじめているからだ。(ジョエル・ウィット戦略国際研究所(CSIS)専任研究員、2月21日の記者会見) (HEU計画に関して)北朝鮮が計画に利用できる物質を獲得したことについては強い確信があるが、計画の存在に対しては中間程度の確信だ。(ジョセフ・デトラニ国家情報局北朝鮮担当官、2月27日上院軍事委員会聴聞会) ケリー氏が知っていたのは、北朝鮮が中距離弾道ミサイルの見返りにパキスタンからウラン濃縮に使う遠心分離機約20基を入手したことと、濃縮工場を建設するかもしれないという不確かな情報に過ぎなかった。(米政府当局者、3月5日発売の米誌「ニューズウィーク」) [朝鮮新報 2007.3.7] |