〈危機迎えたブッシュ政権−〉 中間選挙後の政治動向 |
対朝鮮政策 対話路線推進へシフトか 中間選挙での民主党勝利による国内政治の勢力図の変化は、対朝鮮政策において「穏健派」「協商派」の追い風となっている。 民主党側は、「(核実験をはじめとして)事態をここまで悪化させたのは、ブッシュ政権の無為無策のため」だとブッシュ政権の対朝鮮政策を非難、政策の見直しと米朝直接対話を求めている。具体的には、「特使の平壌派遣」など、「新たなアプローチが必要」との立場だ。とくに、トム・ラントス下院議員(外交委員長)、カール・レビン上院議員(軍事委員長)など以前から朝鮮との直接対話の必要性を強調し訪朝経験もある同党の有力議員らが、議会内で外交安保関連の要職に就いたことは注目される。 ブッシュ政権は発足当初からクリントン政権時代の関与政策を否定、前政権と朝鮮との合意を反故にし、強硬な圧力政策に終始してきた。もともと同政権の対朝鮮政策は合理性に欠けた場当たり的なもので、外交の名に値しないという批判が根強くあった。 内外で高まる批判と中間選挙後の国内政治状況の変化は、ブッシュ政権に外交関係を樹立することで自国の「国益」を追求する関与政策への転換を促している。 朝鮮に対する軍事オプションの選択は事実上不可能だ。先制攻撃と「体制転換」に基づいた従来の強硬策を根底から再検討し、対話路線、関与政策へとシフトせざるをえない状況にあることはまちがいない。 昨年末から再開された6者会談と並行して、朝米金融協議などの2国間対話が進展している。6者会談でも朝米の構図がより鮮明になりつつある。今月の第5回会談第3ラウンドでは、9.19共同声明履行のための「初期行動措置」に合意した。 議会での力関係に関わらず、ブッシュ政権が朝鮮政策の基調を変える可能性は低いと見る向きもある。しかし、民主党のみならず共和党内部からも批判の矢面に立たされ、何ら有効な代案を提示できないブッシュ政権にとって、米朝直接対話を求める声を完全に無視することはできないだろう。(李相英記者) ■対朝鮮と関連した米政府高官らの発言■ ブッシュ大統領 「核兵器のない朝鮮半島を実現するために、パートナーとともに集中的な外交を展開している」(1月23日、一般教書演説) ゲーツ国防長官 (朝鮮の核施設に対する爆撃を主張したCIA長官時代の立場を撤回し)「軍事的アプローチではなく、対話と協商を通じた外交的、平和的方法での解決を」(05年12月5日、上院軍事委員会) トム・ラントス下院議員(民主党) 「北朝鮮への強硬な措置は外交積極化に替わるものではなく、新たな2国間の交渉が大胆なアプローチの一環であるべき。平和的な意図を示すため、ヒル次官補は北朝鮮を訪問すべきだ」(05年11月15日、下院公聴会) ヒラリー・クリントン上院議員(民主党) 「(米朝)直接対話を避けることはできない。(ブッシュ政権の政策は)アメもムチもなく悪い結果しかもたらさなかった」(05年10月31日、シンクタンク「外交問題評議会」での演説) クリントン元大統領 「北朝鮮との対話を遮断し、孤立させようとしたのはまちがった政策方向だ。相手を『悪』と規定しておいて、一杯やろうと誘うことはできない。直接対話の窓口を開いておけば、核問題は1年以内に解決される」(05年11月8日、カナダCP通信) カーター元大統領 「米朝枠組み合意を先に破ったのは北朝鮮だというブッシュ政権の主張は誤りだ。『悪の枢軸』と攻撃されるまで、北朝鮮はそれを誠実に履行していた」(05年11月3日、ブルームバーグTVとの会見) [朝鮮新報 2007.2.23] |