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南側出身旧日本軍軍人、軍属 祐天寺の犠牲者遺骨、「偽者」と判明

5人が帰郷後死亡、2人は存命中 遺族ら遺骨の再調査求める

日本入国を拒否された北側遺族の写真とともに、統国寺で強制連行犠牲者の遺骨を供養する南側遺族(遺骨問題全国集会大阪集会、昨年8月1日)

 東京都目黒区の祐天寺に保管されてある朝鮮半島出身の旧日本軍軍人、軍属の遺骨1135体中、南側出身者の遺骨704体のうち少なくとも7体の遺骨が他人のものであることが明らかになった。

 南のメディアや調査機関が祐天寺の遺骨名簿を調べた結果、このような事実が判明した。

 遺骨が安置されているとされた7人の被害者中、5人は1945年日本の敗戦直後故郷に帰ったのち亡くなっており、2人は現在も南で暮らしている。

 南での報道によると、今回遺骨が偽物とわかった被害者のうち、パク・チェボン氏は45年3月に、シン・ドンウ氏は同年4月に死亡したと名簿に記載されているが、帰郷後それぞれ85年7月と2000年7月に死亡した。

 45年8月24日、「浮島丸爆沈事件」で犠牲になったとされていたパク・チャンソ氏は54年12月22日、故郷である忠清南道の自宅で亡くなった。

 日本軍に強制徴用され遺骨が残っていると記載されているファン・ホスク氏とキム・ジョンリム氏の場合、両氏とも解放後南に帰り、それぞれ02年12月と84年3月に死亡した。

 一方、44年に軍属として沖縄に連行され、45年4月に米軍の捕虜になったキム・サンボン氏(85)は、同年12月に帰郷したあと、現在も釜山市で存命中だが、祐天寺にはキム氏の「遺骨箱」が保管されている。

 祐天寺にある南側出身者の遺骨の一部は、1970年から2005年の間に計10回にわたって遺族に返還された。返還された遺骨1193体の中にも本人のものではない他人の遺骨が混じっていた可能性が高い。遺族や市民団体からは、現在保管され返還を待っている遺骨だけでなく、すでに返還された遺骨に関しても公式的なDNA鑑定を求める声が高まっている。

 また、「日本政府の方針は、何とかして遺骨を早く整理してこの問題を終わりにしたいということ」(外交通商部関係者)だと、日本政府の対応に不満を表している。

 南の「日帝強占下強制動員被害者真相究明委員会」によると、同委員会は1971年に厚生省(当時)が祐天寺に預託した朝鮮半島出身者の遺骨名簿から南側出身者704人の身元確認作業を行い、昨年末まで240人分の調査を終えた。

加害者の視点欠いた対応

 祐天寺の偽遺骨問題がクローズアップされたのは今回が初めてではない。

 本紙では2004年12月、祐天寺に保管されていた北側出身犠牲者である故金龍均氏の遺骨が偽物であり、金氏が遺族の同意もなく靖国神社に合祀されていたことを報じた。

 金龍均氏の息子である金勇虎氏(平壌市在住)をはじめとする被害者の遺族らは、この年12月11日に祐天寺で行われた犠牲者追悼集会と遺骨問題のシンポジウム(12日)に参加することになっていたが、日本当局が北側代表団関係者の入国を不許可にしたため参加することができなかった。

 遺族の委任を受けた東京朝鮮人強制連行真相調査団が追悼集会で金龍均氏の遺骨を確認したところ、遺骨箱には「石ころなのか紙くずなのかわからないようなもの」だけしか入っていなかった。

 また、東京調査団の求めに対して厚生労働省が提出した「旧日本軍在籍朝鮮出身死亡者連名簿」の故金龍均氏に関する資料には、「遺骨欄」に「無」と記載されていた。また同資料を通じて、金氏が1959年10月17日に靖国神社に合祀されていた事実も明るみに出た。

 日本政府は朝鮮人犠牲者の遺骨問題に関して、一貫して非人道的で差別的な対応に終始してきた。

 日本当局は自国の戦没者に対しては海外で遺骨発掘作業を行ってきた。

 90年代からは、海外から返還される日本人遺骨に対してDNA鑑定も実施している。一方で国内の朝鮮人犠牲者の遺骨返還事業においては、このような過程をすべて省略している。

 なかでも北側出身犠牲者の遺骨問題に対しては、「朝鮮人遺骨遺留品のうち、その送還は南朝鮮に在住している者の分だけを送る」(47年2月26日のGHQ指令)、「北朝鮮出身の遺骨には葬祭費は支払わない方針」(旧厚生省資料、60年2月)などと、一貫してその解決を拒んできた。

 昨年7月から8月にかけて朝鮮人強制連行犠牲者の遺骨問題解決に向けた全国集会が日本各地で行われたが、南の遺族とともに集会に招請されていた北側遺族代表団は、04年に引き続き日本当局によって入国を拒否された。

 戦争に強制的に駆り出され亡くなった朝鮮人犠牲者は数十万といわれるが、正確な数字は把握されていない。このうち相当数がいまだ日本やほかのアジア地域などに遺骨として残されている。(李相英記者)

浮き彫りになった非人道性

 洪祥進・強制連行真相調査団朝鮮人側事務局長の談話 祐天寺の遺骨問題は、朝鮮人強制連行犠牲者の遺骨問題に対する日本政府の不誠実な対応を示す代表的な事例だといえる。

 2004年の北側犠牲者偽遺骨問題に続き、今回南側出身者の遺骨が本人のものとは違うということが明らかになったことによって、過去の清算問題と関連した日本側の非人道性があらためて浮き彫りになった。

 祐天寺に保管されてある遺骨の大多数は、おそらく本人のものではない偽物だろう。

 DNA鑑定を含めた、遺骨に対する徹底した調査が必要だ。日本当局は自らの過去の責任を認識し、問題の解決へ誠実な態度をとらなければならない。

[朝鮮新報 2007.1.26]