注目集める地下資源大国朝鮮 |
レアメタルの宝庫、各方面から関心
世界的に埋蔵量が少なく、特定の地域に偏在しているレアメタル(希少金属)の価格高騰が続いている。ハイテク機器の製造や軍需産業に必要不可欠なため、先進諸国は「レアメタルの安定確保」に向けた資源外交を積極的に展開している。レアメタル問題が世界的にクローズアップされる中で注目を浴びているのが、豊富な鉱物資源を持つ朝鮮だ。近年、地質探査活動に力を入れ、南朝鮮側と地下資源協力事業を推し進めるなど、資源開発分野で活発な動きを見せている。 朝鮮には約200種の鉱物資源が眠っていると言われる。鉄鉱、石炭、亜鉛などのほかにマグネサイト、タングステン、モリブデンをはじめとするレアメタルが豊富に埋蔵されている。 大韓商工会議所は11月21日に発表した「北韓地下資源共同開発戦略」と題する報告書の中で、朝鮮の鉱物資源のうち、とくに経済的価値が高い20鉱種の潜在価値は金額にして約2288兆ウォン(約340兆円)にのぼると推測している。 朝鮮は今年、「経済発展の未来を見通し、地質探査事業を先行させながらエネルギーおよび資源開発を展望性を持って進めていく」(新年3紙共同社説)と、長期的な視野に立った資源開発戦略を打ち出した。 一方、2005年7月に北南間で合意した「軽工業および地下資源開発協力事業」に拍車がかかっている。同事業は南が衣類、靴、石鹸などの軽工業製品の原材料を北側に提供し、北側はその代価を地下資源で償還するというもの。昨年6月に事業推進に関する合意書が、今年4月に修正合意書がそれぞれ採択され、本格的なスタートを切った。 現在は咸鏡南道の端川地域にある3つの鉱山を対象に共同開発を進めている。なかでも、剣徳鉱山は東アジア最大の亜鉛埋蔵量を誇り、龍陽鉱山は数十億トンのマグネサイトが眠る世界トップクラスの鉱山と言われている。 社団法人「南北交流協力支援協会」のチェ・ギョンス資源開発室長は11月23日ソウルで行われた北南経済協力に関する討論会で、北側の地下資源価値を3719兆ウォン(約438兆円)と試算、両者の技術、資本、労働力を集結させ開発を進める場合、「南は産業の原料となる鉱物を、北は大規模な雇用を確保できる」と述べた。また、端川地域への投資効果に関して、「剣徳亜鉛鉱山と龍陽・大興マグネサイト鉱山あわせて年間3300億ウォン(約389億円)ずつ、今後30年間に約10兆ウォン(約1兆1800億円)分の鉱物を生産できる」との見通しを語った。 北南は8月から11月にかけて2回の現地共同調査を実施。埋蔵量の確認や鉱山の稼働能力、設備の把握、電力、道路をはじめとするインフラ調査などを行った。南側は調査結果を基に事業評価を行った後、来年から投資を希望する企業を選定し、地下資源開発を本格的に推進する予定だ。(李相英記者) (関連記事) [朝鮮新報 2007.11.30] |