〈月間平壌レポート〉 冬支度を始める市民 |
【平壌発=文・呉陽希、写真・文光善記者】8月の豪雨被害を受けたあとの秋の収穫が急ピッチで進められた11月。やはり収穫量は減ったそうだが、人々の表情は明るかった。19日には初雪が降り、平壌は本格的な冬を迎えるための準備を始めた。 洪水被害後の収穫 一粒の米も無駄なく 「一粒の米も無駄なく収穫しよう」 秋の収穫が行われるこの季節、朝鮮中央テレビは連日、力強くこのように呼びかけた。労働新聞をはじめとする各紙も秋の収穫に奮起する各地の情報をほぼ毎日伝えた。 例年のスローガンだが、今年はその意味がより重く感じられた。8月の豪雨による被害で農産物の損失が大きかったためだ。 秋の収穫には協同農場で働く人だけではなく、国内のあらゆる人手が動員される。職場や学校のグループごとに地方の農村に赴き1週間から10日間、農作物の収穫を手伝う。 作業に参加した平壌支局の現地スタッフによると、稲が水に浸かったために、今年の稲作の作況はよくないようだという。 平壌市兄弟山区域鶴山里の農村は、8月の豪雨で約40ヘクタールの田畑に損失があったという。毎年この時期、各家庭に供給される冬場のキムチ用の白菜も収穫量が減少した。鶴山里で農業を営む家庭には昨年、大人、子どもに関係なく1人当たり100キロ供給されたのが、今年は子どもの分が50キロに減った。 しかし人々の表情に陰りはなく、家庭の食糧事情について聞くと「問題ない」「大丈夫」だと話した。 白菜とのたたかい
平壌市内のあちこちで冬支度が始まった。 11月中旬、支局のある平壌ホテルの従業員たちが窓のふちに帯状の紙を張り付け、すきま風を防ぐ作業を始めた。本格的な冬に入る前の準備だ。 平壌市内の道路では、荷台いっぱいに白菜を積んだトラックを見かけるようになった。アパートのベランダにも白菜が積み上げられていた。 11月になると、全国のほぼすべての家庭で冬場に食べるキムチを漬けるキムジャン作業が行われる。この時期、各家庭でキムチを漬けることは冬を迎えるための恒例行事だ。キムジャンの作業を担う主婦らは、この時期は数百キロにおよぶ白菜とのたたかいの時期だと冗談交じりに言う。
19日午後6時頃、平壌に初雪が降った。 人通りの少なくなる時間に降り始めたため、翌日窓の外には白銀の世界が広がった。気象水文局によると午後6時から12時までに1センチを観測。大体、初雪は雨が降ったあと気温が次第に低下するにつれて降ったり、みぞれになって降るが、今年は急に気温が低下して降ったという。初雪が降って平壌の最低気温は例年より9℃下がった。 12日頃からは、交通安全員の姿も毛の帽子、首元にファーのついた冬服に変わった。 今年最後の在日同胞短期訪問団が21日に出国した。平壌ホテルの食堂の大ホールで食事をする人は、記者とその他数人の滞在客だけになった。 実践段階に突入 一方、「北南関係の発展と平和・繁栄のための宣言」(10.4宣言)採択後、情勢はめまぐるしく動いている。 3日、朝鮮アジア太平洋平和委員会と現代グループは、平壌で北南間の観光事業に関して協議し、一連の合意に至った。来年5月から白頭山−ソウル直航路による白頭山観光、来月から開城地区の歴史遺跡と名所に対する観光が始まる。 14〜16日にソウルで行われた第1回北南総理会談で北と南は、「西海平和協力特別地帯」の設置をはじめとする経済協力や社会文化分野の交流、協力など各分野の対話と接触を活性化するための措置に合意した。会談取材に出向いた支局の先輩記者の話によると、会談期間中、北と南は終始和やかな雰囲気だったという。北側の金英逸総理は、合意書が実践されれば北南関係は新しい段階に発展するだろうとしながら、過去のように約束を白紙にするようなことがあってはならないと強調した。 27日からは平壌で北側の人民武力部長と南側の国防長官との会談が行われた。同時期に金剛山で北南赤十字会談も開催された。来月4〜6日にはソウルで「北南経済協力共同委員会」の第1回会議が行われる。北南両首脳の対面から約1カ月、北南関係は10.4宣言に沿ってスピードを上げて動き始めた。 [朝鮮新報 2007.11.28] |