〈今月の金正日総書記−9、10月−〉 ベトナム、中国 外国要人と会見 |
朝鮮中央通信など国内メディアが伝えた9月の金正日総書記の公式活動は、慈江道満浦市、城干郡、前川郡内の経済単位に対する現地指導や、ロシア・モイセーエフ国立アカデミア民俗舞踊団の公演鑑賞など7回。一方、目立った動きの少なかった9月とは打って変わって、10月は北南首脳対面(2〜4日)に始まり、外国要人との会見などの公式活動がメディアを通じて連日伝えられた。 関係発展の兆し
総書記の10月の公式活動は、北南首脳対面を除けば、軍関係1回、外交関係4回、その他文化、葬祭関連の活動6回の計11回。 なかでも注目されるのは、ベトナム、中国の要人との高位級外交だろう。 16〜18日までベトナム共産党中央委員会のノン・ドク・マイン書記長が朝鮮を公式親善訪問した。金正日総書記は平壌・順安飛行場でベトナム共産党書記長一行を出迎えた。翌日にはマイン書記長の宿泊先を訪問し、昼食会を催した。また同日、マイン書記長と単独会談を行った。一行の帰国の際にも空港で見送るなど、異例の対応だった。 ベトナム最高指導者の訪朝は1957年の故ホー・チミン主席以来、半世紀ぶりのこと。ベトナム共産党トップの訪朝について朝鮮側は、「朝鮮とベトナムとの親善関係を強化、発展させるうえで重大な出来事になる」(労働新聞16日付社説)と、多大な意義を付与した。一方のベトナム側も「この間、多少疎遠だった両国関係を伝統的な友好関係に戻す契機になった。両国は政治、経済、文化、国際、科学技術などあらゆる分野において幅広い協力を強化していくことで合意した」(18日、ファム・ザー・キエム副首相兼外相)と、意義を強調した。 ベトナムからは02年5月にもチャン・ドク・ルオン主席が訪朝した。この時も金正日総書記はルオン主席一行と会見した。前年の01年7月11〜14日には金永南委員長がベトナムを訪問し、相互親善友好関係の強化発展を確認する共同コミュニケを発表した。 マイン書記長の訪朝に同行したキエム副首相が明らかにしたように、今回の首脳会談では両国間の関係発展に関する問題がさまざまな分野で話し合われた。26日から金英逸総理がベトナムをはじめ東南アジア諸国を歴訪するなど、金正日総書記とマイン書記長との会談を機に両国関係は発展の兆しを見せている。 党大会機に友好確認 また、金正日総書記は30日、中国共産党中央委員会政治局委員であり宣伝部長である党中央委員会書記処の劉雲山書記と会談した。中国要人の訪朝は、7月の楊潔箎外相以来のこと。 会談の具体的内容は明らかになっていないが、朝鮮中央通信によると、席上、劉書記は金正日総書記にあてられた胡錦涛総書記の口頭親書を伝え、胡総書記の委任を受けて中国共産党第17回大会の内容について説明した。総書記はこれに謝意を表すとともに、党大会の成功を祝った。 これに先立ち22日には、胡錦涛総書記が中国共産党第17回大会を機に総書記および中央軍事委員会主席に再選されたことで祝電を送った。祝電は、今回の再選を「胡総書記に対する党と軍、人民の信頼の証」であるとし、伝統的な朝中親善関係の強化発展に対する確信を表明、「党大会で提示された目標達成のための活動で成果があることを願う」と指摘した。 中国共産党中央委員会書記処は、党中央政治局と政治局常務委員会の事務処理機関。劉書記からは党大会の決定事項や、新指導部の陣容などが朝鮮側に詳細に報告されたものと思われる。 15〜21日に開かれた中国共産党第17回大会は、持続可能な経済発展を掲げた胡総書記の思想「科学的発展観」を、「中国の特色ある社会主義を発展させるために必ず堅持すべき重要な戦略思想」と規定。胡総書記は「科学的発展観」の定着と「調和のとれた社会主義社会の建設」に全力を挙げる姿勢を強調した。 最近、朝中関係は各分野で相互往来や接触、交流が行われるなど良好に発展している。今回の中国共産党大会を機に、朝中友好関係の発展が確認されたといえよう。(李相英記者) [朝鮮新報 2007.11.14] |