top_rogo.gif (16396 bytes)

〈月間平壌レポート〉 各地で水害復旧作業急ぐ

北南首脳対面にふくらむ期待

 【平壌発=姜イルク記者】2日から、2000年6月以来、史上2回目となる北南首脳対面が開催された。その舞台となる平壌市では、今月上旬から道路の補修工事が行われるなど、清掃整備作業が活発に行われた。市民らは、会談に大きな関心と期待を寄せている。

被災民も一丸

被害を受けた瑞興郡・シンマク中学校の復旧作業を行う人々

 北南首脳対面は当初、8月末に予定されていたが、8月中旬に各地域で起きた大雨被害で延期された。

 平壌支局スタッフ一行は、水害直後の8月下旬から9月上旬にかけて、大雨による被害が比較的大きかったとされる5つの郡(市郡は全国に約200ある)を訪れた。

 現地では復旧作業に被災民を含めすべての住民が動員され、一丸となって作業が推し進められていた。

 彼らが掲げているスローガンは「現状復旧ではなく、以前より立派に」。

 家を失った人びとは公共施設やテントで不便な生活をしながらも、破壊された道路や堤防の復旧工事に従事していた。

 工事の現場にはショベルカーやクレーンなどの機械はほとんどない。工事はスコップや麻袋などを用いて手作業で行っている。建設資材も充分な量が確保されていないという。

 洪水被害対策委員会の幹部らは、建設に必要な機械や資材はもとより、飲食物も不足していると、深刻な表情を崩さない。

 しかし現場で働く住民の表情に陰りは見られなかった。

 今回の大雨によって黄海北道平山郡サンス里第5作業班では、すべての住民が家を失った。チェ・ドチュンさん(44)は、「道、郡、里の幹部らも寝食をともにしながら、復旧活動に励んでいる。今の生活は不便だが、われわれは未来を悲観してはいない。以前よりさらに住みよい村を建設してみせる」と力強く語った。

 郡人民委員会の幹部らも、「今は何もかもが不足しているが、われわれには一心団結の力がある」と強調していた。

 労働新聞など国内のメディアは最近、急ピッチで進められている各地の復旧事業ニュースを連日のように伝えている。

 朝鮮のメディアは17日、浸水被害のあった養苗場のすべてが復旧され、埋没した土地の44%、土砂崩れで破壊された道路の66.5%、堤防の50%が復旧されたと伝えた。

同胞の支援に感激

 総連側からの支援物資はまだ被災地に届いていないが、総連活動家と在日同胞が支援運動を繰り広げていると知った現地の人びとは、「その気持ちだけでもありがたい」「とても勇気づけられる」と感激していた。

 黄海北道瑞興郡人民委員会のパク・ヨンパル委員長(39)は、在日同胞らの愛族愛国の精神は復旧活動に立ち上がった人びとにとって大きな力になるとしながら、一日も早く安定した生活に戻って強盛大国を建設していく決意を語った。そして、「祖国の人民は在日同胞をいつも心配している」「総連組織を必ず守っていくことを願う」と強調していた。
 被災地の人びとが一様に語っていたのは、むしろ日本で苦労する在日同胞の力になりたいという気持ちだった。

 黄海北道平山郡人民委員会のキム・ドングク委員長(40)は、「平山郡でも人的、物的被害は大きかったが、試練は一時的なものだ。われわれはむしろ、総連と在日同胞を心配している。すぐにでも飛んでいって支えてあげたい気持ちだ」「われわれのことは心配ない。日本反動層の弾圧がひどくなればなるほど、団結した力で乗り越えていってくれるものと信じている」と述べた。

 一方、現地には朝鮮政府と国際機構、南朝鮮が提供した食べ物や飲料水などの救援物資が届けられ、被災民らのもとにわたっていた。その中には、南からの物資が多く含まれていた。

 南の支援について郡人民委員会の幹部らは謝意を述べることをためらわなかった。

 「同じ民族として喜びも悲しみもともに分かち合おうとする気持ちがありがたい」

 過去には敵対していた同族だが、6.15共同宣言発表から7年の歳月を経た現在、思想と制度の違いを超越し、同族意識が定着していることを実感した。

総連弾圧許さない

 9月12日、反朝鮮、反総連敵視政策をとってきた安倍首相が突然の辞意を表明した。市民らは安倍首相の政治舞台からの退場を当然のこととして捉えていた。誰が首相になろうとも関係ないが、総連弾圧は絶対に許されないという意見が大勢を占めた。

 一方、北南首脳対面には格別の思いがあるようだ。

 7年前の6月13日、平壌を初めて訪れた南の大統領を市民らは熱烈に歓迎した。沿道で出迎えた市民の数は60余万。平壌市民こそが歴史的瞬間の目撃者であり、また、感動の場面を演出するのに一役かった主人公でもある。

 メーデースタジアムでは17日、全国を襲った水害を乗り越えて「アリラン」公演が再開された。市内は再び祭典の雰囲気に包まれている。

 そして10月上旬、平壌ではまたどんなドラマが生まれるのか、期待がふくらむ。

[朝鮮新報 2007.10.3]