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〈朝・日国交正常化作業部会〉 正常化に向けた再出発

6者プロセス進展と日本の「軌道修正」

 【ウランバートル発=金志永記者】朝・日国交正常化作業部会が5〜6日までモンゴルのウランバートルで開かれた。朝鮮と日本は6者会談の合意事項における双方の公約を再確認し、平壌宣言に基づいて国交正常化を早期に実現するため努力していくことで一致した。また今後、国交正常化に向けた具体的な行動計画について協議し、実施していくことで合意した。つまり、両国は、関係正常化の意志を再確認したことになる。ウランバートル会議で双方の政府代表団は関係改善に向けた再出発のきっかけを作り出すため努力を傾けた。

変化の要因

作業部会初日の会議(5日、モンゴル政府迎賓館)

 今年3月、ベトナム・ハノイで朝・日作業部会の第1回会議が開催されたが、双方は関係改善に向けた措置の糸口すらつかめなかった。

 今回、ウランバートル会議をきっかけに両国は関係正常化に向けて再び歩みだした。その経緯と背景に注目が集まっている。

 日本のメディアは、おおむね「北朝鮮の変化」をその要因として挙げている。朝米関係を進展させるため、日本に対する態度を軟化せざるをえなかったという分析だ。「米国側が拉致問題の解決を朝鮮側に促した」という仮定を前提とした見方だといえる。

 また、日本側が経済協力と直結する過去の清算問題の協議を検討することによって、拉致問題に対する朝鮮側の「前向きな姿勢」を引き出したという見方もある。6者会談「2.13合意」が本格的な履行段階に入り、朝米関係は良い方向に進展している。悪化の一路をたどる朝・日関係と、6者会談での合意にしたがって進展する朝米関係は対照的だ。

 朝鮮側は日本側の歴史的、道徳的義務である過去の清算問題の解決と拉致問題を「取引」するかのように論じたことはない。朝鮮側は、従来の立場を変えたこともなければ、変える理由もない。

日本側の義務

 ウランバートル会議での合意は、日本側の「軌道修正」によってもたらされたと見ることができる。この間、日本は朝鮮に対する対決政策をエスカレートさせてきた。昨年10月の朝鮮の核実験以降、6者会談が再開され「2.13合意」が採択されても日本側は旧態依然とした立場から抜け出そうとしなかった。

 しかし、大勢は日が経つにつれいっそう明らかになった。ウランバートル会議に先立ってスイス・ジュネーブで行われた朝米作業部会では、「9.19共同声明履行のための次段階の措置が討議され、一連の合意がなされた」(朝鮮外務省スポークスマン)。

 今回の作業部会で朝鮮側の団長である宋日昊・外務省朝・日会談担当大使は、6者会談の進展状況について指摘しながら、朝、日両国が「前向きで実質的な行動」をとっていく必要性を強調した。

 日本側は、拉致問題はいまだ解決していないと主張しているが、朝鮮側がこの問題に関して調査を実施し被害者とその家族を帰国させた事実を否定することはできない。一方、日本側は平壌宣言が発表された後も、過去の清算問題の解決に向けて動こうとはしなかった。両国関係改善の雰囲気を作り出すためには、朝鮮側がすでに行った分だけ日本側も行動を起こさなければならない。

 作業部会に出席した朝鮮側代表団の関係者は、「これからは朝・日関係においても目に見える進展が必要だ」と話していた。

 平壌宣言に明らかにされているように、両国間の関係正常化を実現するための核心的問題は日本側の過去清算だ。

 今回の会議で朝鮮側は日本の過去清算問題と関連して、▼植民地時代に朝鮮人民に与えた人的、物的、精神的被害を補償する問題▼在日朝鮮人の地位問題▼略奪文化財の返還問題について言及し、日本側がこれらの問題を解決するために前向きな姿勢をとることを求めた。朝鮮側の会談関係者によると、日本側は問題解決に誠実に応じる姿勢を示したという。

具体的な行動を

 日本の過去の清算問題と関連して、朝鮮側は現在まで一貫した要求を行ってきた。補償問題においては、強制連行、日本軍「慰安婦」問題など植民地時代の大型人権じゅうりん犯罪は双方が財産および請求権を相互放棄するだけでは解決されず、したがってこれとは別途に扱われるべきだと主張してきた。

 また在日朝鮮人の地位問題に関しては、日本当局の総連に対する弾圧が焦眉の問題として浮かび上がっている。現在進行形の問題に関する対応においては、あいまいさは許されないというのが朝鮮側の立場だ。朝鮮はこれからも、この問題に関する日本側の対応を注視していく構えだ。

 6者会談プロセスの進展に拍車がかかっている。日本側が誠実に行動すれば、朝鮮側も積極的に応えるだろう。ウランバートル会議での合意が具体的な行動に移されるならば、失われた時間を取り戻すことも十分に可能だ。

[朝鮮新報 2007.9.12]