朝鮮赤十字会 「長期的な救護対策必要」 |
被災地にボランティア進出 【平壌発=金志永記者】朝鮮各地で行われている洪水被害の復旧作業で赤十字団体が大きな役割を果たしている。 救援物資供給 現在、平壌市中区域に位置する朝鮮赤十字会庁舎では連日のように水害復旧対策会議が行われている。 各地の被害状況を把握し、被災者の生活を安定させるのに必要な物資の供給と救護活動を指揮している。 そして会議での決定に従い、朝鮮赤十字会中央委員会の関係者を被災地へ派遣している。 朝鮮赤十字会では黄海北道谷山郡、平安南道陽徳郡などで豪雨被害があったという最初のニュースを受けて、即座に救援物資を水害被災者に配った。 朝鮮赤十字会は赤十字および赤半月会国際連盟と協力して、平壌と全国5カ所にある倉庫に緊急時のための物資を確保していた。炊事道具、毛布、テントなどだ。各倉庫に2000〜3000世帯分の物資を常備している。 「被害拡大により、赤十字の救援物資配給も2次、3次と、連続的に行わなければならなかった」 今回の豪雨で被害を受けたのは一部の地域だけではない。朝鮮赤十字会中央委員会のキム・ウンチョル副書記長の説明によると、確保しておいた救援物資はすでに全国各地の1万6000世帯に配られた。 しかしなお、配給を追加しなければならない状況だ。赤十字および赤半月会国際連盟は8月20日、朝鮮赤十字会の要請に従い、世界各国が人道主義支援の拡大に関心を払うことを訴えるアピール文を発表した。 自力で復旧作業 「被害発生当初は、人命救助が急務だった。洪水と山崩れを避けるために、住民を安全なところへ避難させ、負傷者に救急措置を講じなければならない。 現在、全国から1万4000人余りの赤十字ボランティアたちがこの作業を行っている」 朝鮮赤十字会では緊急災難時に、赤十字の人道主義活動を行うボランティアを養成している。道、市、郡単位で希望者を募集し定期的に講習を行っている。ボランティアの大部分は、一般の労働者、農民、青年学生たちだ。 今回の洪水被害によって、正常な医療サービスを受けられない地域の住民のために112の「移動救急」施設が設置された。ここで負傷者の世話をしているのも赤十字のボランティアだ。 「1万4000人余りのボランティアも多くは洪水の被害を受けた人たちだ。彼らのおかげで私たちも平壌で水害対策を講じることができる」 全国が被害を受けたことで、他の地域からの支援は期待できない。現場では被災者が自力で被害復旧作業を行わなければならない。 キム副書記長によると朝鮮赤十字会は、内閣に設けられた洪水被害対策委員会と緊密な連携を取っている。それぞれが掌握した被害状況データを互いに報告し、適切な救援対策を講じている。赤十字のボランティアも地方行政機関の計画と歩調を合わせて活動している。 「疫病防止」が課題 「被災者の命を守る1次救急措置は講じたが、水害地域の医療条件は決して十分ではない。次段階の対策は、各種疾病を防止することだが、医薬品不足が懸念されている。現場では生活用水が汚染されたケースが多く、今後気候も寒くなる。赤十字レベルでも、長期的対策を講じる必要がある」 キム副書記長は「朝鮮の洪水被害に対する国際社会の人道支援と協力を歓迎する」と話した。一方で、支援と協力は「朝鮮の実情に即した、被害現場の要求に沿ったものがほしい」と指摘した。「実情」と「要求」については、朝鮮赤十字会が国際連盟側に随時伝えているという。 「現場で活動するボランティアに会うたびに感じることは、朝鮮人民は本当に信念が強いということだ。家や財産を失っても、自分の足で再び立ち上がろうとする意志がある。朝鮮は必ず困難を克服し、復興を成し遂げていくだろう」 [朝鮮新報 2007.9.3] |