top_rogo.gif (16396 bytes)

金永南委員長 アジア、アフリカ歴訪 朴宜春外相 ARF参加

朝鮮の積極外交、「親善」「平和」アピール

 朝鮮が国際舞台で積極的な外交活動を繰り広げている。さる7月20日から8月2日まで最高人民会議常任委員会・金永南委員長がアジア、アフリカ諸国を歴訪した。一方、朴宜春外相を団長とする朝鮮代表団が7月28日から8月2日までフィリピンを訪問、マニラで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)に参加した。

友好関係発展の契機

エジプトのムバラク大統領と会談する金永南委員長(7月26日) [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 最高人民会議常任委員会の金永南委員長はモンゴル(20〜23日)を皮切りに、アルジェリア(24〜26日)、エジプト(26〜27日)、エチオピア(27〜31日)、シンガポール(8月1〜2日)を親善訪問した。

 金永南委員長の海外歴訪は、第14回非同盟運動(NAM)首脳会議に出席するため昨年9月にキューバを訪問して以来のこと。金衡俊外務次官、崔昌植保健相、李明山貿易次官などが随行した。

 金委員長は訪問期間中、各国の大統領、首相らと会談を行った。両国間の親善、協力関係を各分野にわたって拡大し発展させることや、相互の関心事となる問題について意見を交わした。

 エチオピア訪問期間中の7月27日には、アフリカ連合(AU)のアルファ・ウマル・コナレ委員長と会見した。

 また、両国間で外交、保健、貿易分野などの部門別会談も行われた。

 モンゴル訪問時には、朝鮮政府とモンゴル政府間の保健、医療学分野における協力に関する協定、海上運輸に関する協定などがウランバートルで調印された(7月20日)。

 朝鮮は歴史的にアジア、アフリカ諸国と友好親善関係を発展させてきた。今回訪問したモンゴル、エジプトなども朝鮮と伝統的な友好関係を持つ国々だ。

 金永南委員長は訪問先の国々に送った感謝メッセージを通じて、「相互の理解と友誼をいっそう厚くし、両国の関係発展をいっそう促進する重要な契機になった」と、今回の一連の訪問を評価した。

「非核化」意志を表明

 今年5月に就任した朴宜春外相は、今回のARFが外相として初の本格的な外交舞台のデビューになった。

 1994年7月に第1回会合が開かれたARFは、アジア・太平洋地域の諸国が対話と相互理解、信頼醸成を通じ域内の平和と安全を追求する目的のもとに設立された政治、安全保障分野の協議体。現在、ASEANのメンバー10カ国と北南朝鮮、米国、中国、ロシア、日本、EUなどが参加している。今回新たにスリランカの加盟が承認され、加盟国は27カ国となった。朝鮮は2000年から参加している。

 フィリピン訪問期間中、朴外相はARF閣僚会議(2日)に参加したほか、米国、南朝鮮など6者会談参加国をはじめとするアジア、太平洋地域諸国の代表らと会談を行った。

 朝鮮中央通信によると、朴外相は閣僚会議で演説し、朝鮮政府は「自主、平和、親善」の対外政策理念に基づき、朝鮮半島と地域の平和のためにASEAN諸国を含めたARFメンバー国と緊密に協力していくと指摘した。またARFが地域内唯一の政治対話フォーラムとしての使命を果たすためには、「自主権尊重と内政不干渉、平和共存などの原則を徹底して遵守していくことが必須だ」と強調した。

 一方で朝鮮半島核問題について、「対話と交渉による問題の解決は朝鮮政府の一貫した立場」だと指摘、朝鮮半島非核化は本質において朝鮮に対する米国の敵視政策終了と核脅威の除去に直結した問題だと述べた。

 朴外相は朝鮮側の「2.13合意」の履行意志をあらためて表明した。南朝鮮メディアなどの現地報道によると、朴外相は寧辺核施設の稼動停止、国際原子力機関(IAEA)の検証、監視要員の受け入れなど朝鮮側の初期段階措置履行について言及した。そのうえで合意の履行は「『行動対行動』の原則に基づき進められるべきである」とし、朝鮮側を除く5者、とくに米国と日本が朝鮮側の合意履行に相応する措置を実際の行動で示さなければならないと強調した。

 ARF閣僚会議は2日、▼朝鮮半島の非核化の重要性を強調▼朝鮮の核施設稼動停止を確認した国際原子力機関(IAEA)の報告を歓迎▼6者会談を支持し、再開された協議での合意事項を歓迎−などの項目を骨子とする議長声明を発表し閉幕した。

 朴外相はこの間、2者会談も積極的に行った。

 1日、ネグロポンテ米国務省副長官との会談では、朝米双方が「2.13合意」の「次段階措置」など6者会談合意に明記された義務を履行し、会談プロセスを進展させるために互いに努力していく立場を確認した。

 2日には南朝鮮の宋旻淳外交通商相との北南外相会談が開かれた。双方は6者会談の進展や北南関係の発展など、互いの関心事となる問題について論議した。

 一方、ARF閣僚会議開幕に先立ち7月30日、朴外相はフィリピンのアロヨ大統領を表敬訪問した。29日にはフィリピンのアルベルト・ロムロ外相と会談。朝鮮外務省とフィリピン外務省間の双務協議システム樹立に関する協定が調印された。

 この他にもシンガポール、タイなどとの会談が行われたが、日本との会談は行われなかった。

 朴外相に同行したチョン・ソンイル朝鮮外務省副局長は7月31日、記者団に対して日本が対朝鮮敵視政策を放棄しないかぎり日本側からの要請があろうとも会期中に日本側と会談する考えがないことを明らかにしていた。朝鮮側は「アジア地域の主な不安定要素の一つは日本」(朴外相)と指摘するなど、日本に対して厳しい態度で臨んだ。

[朝鮮新報 2007.8.10]