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そこが知りたいQ&A−6者団長会談、何が決まったのか

「行動対行動」に基づく義務履行を確認

 朝鮮半島非核化のための第6回6者会談・団長会談が18〜20日、北京で開催された。4カ月ぶりに再開された会談では何が論議され、何が決まったのか。Q&Aで見た。

 Q 会談は6月中旬に「バンコ・デルタ・アジア」(BDA)の凍結資金問題が解決し、一時中断状態にあった「2.13合意」の履行に拍車がかかる中での開催となった。

 A BDA問題の解決を前後して、6者会談米国側首席代表であるクリストファー・ヒル国務次官補や、国際原子力機関(IAEA)の実務代表団が訪朝するなど初期段階措置履行に向けた動きが活発化し、会談再開への期待が高まっていた。14日からはIAEAのメンバーらが寧辺で核施設の稼動停止および封印を検証、監視するための活動を開始した。

 今会談は、休会した3月の6者会談の再開という位置づけ。17日午後から18日午前にかけて2国間協議を行った各国は、別途の開幕行事を行わず、午後からそのまま懸案事項の協議に入った。

 Q 会談では何が話し合われたのか。

 A 「2.13合意」の初期段階措置の履行を点検するとともに、「次の段階の措置」に関する討議が集中的に行われた。

 朝鮮側の核プログラム申告と核施設無力化、ほかの参加国の経済、エネルギー支援というそれぞれの義務事項に関する履行期限と方法などについて主に話し合われた。

 Q 何が決まったのか。

 A 閉幕に際して議長国・中国は、会談の結果を要約した「メディア向けの報道文(press communiqu´)」を発表した。

 同文書によると、6者は今会談を通じて▼「9.19共同声明」と「2.13合意」の履行▼朝鮮側の核プログラムの完全申告と現存核施設の無力化義務の履行▼朝鮮側に対する重油95万トン相当の経済、エネルギー、人道支援提供▼「行動対行動」原則に従った各者の義務の履行など、4つの項目について「全体的な意見の一致」(general consensus)に達した。

 また、上記の意見一致事項を履行するために、5つの作業部会を8月中に、第6回6者会談第2ラウンドを9月初めに開催することで合意した。第2ラウンド会談後のできるだけ早い時期に6者外相会合を北京で開くことも決まった。

 参加各国は、会談の結果に関しておおむね肯定的に評価している。

 朝鮮側の金桂官外務次官も21日、帰国を前に北京空港内で記者団に対し、「建設的で実務的な雰囲気の中で次段階措置に対する深い話し合いが行われた」と説明。「いい論議ができ、結果に満足している」と述べた。

 会期中に核施設無力化の期限を設定できなかったことを問題視する声もあるが、朝鮮側は、「時間が不足したため」(金次官)と説明。期限の設定には「それに相応した各国の義務事項を明確にし、行動の順序を定める必要がある」との認識を示した。

 申告や無力化の方法や期限の設定に関しては、今後の作業部会と第2ラウンド会談で本格的に論議される予定だ。

 Q 朝米の活発な2国間接触が目立った。

 A 両者は会談開幕の前日、互いの大使館を行き来するなど、3度にわたって協議の場を持った。朝鮮側はこれを「朝米会談」(朝鮮中央通信)と位置づけた。今回、北京に出向いたのは「朝米会談」と「6者団長会談」に参加するためというスタンスだ。相手国の大使館を訪れ議論を交わした米国も同様だろう。

 会談では「テロ支援国家」指定解除や「対敵国通商法」の適用終了など、米国の対朝鮮敵視政策撤回に関する問題も話し合われたと見られる。

 昨年末の6者会談再開から今回の団長会談に至るまでの経緯を見ても明らかだが、核問題の核心当事者である朝米間の協議結果が情勢の成り行きを左右してきた。今会談を通じて6者会談における朝米主導の構図がより鮮明になったといえる。朝米を中心にほかの4者がそれを確認、サポートするという流れが今後も加速するだろう。

 Q 朝・日間の接触も行われたが。

 A 19日午後、日本側の要請によって1時間ほど行われた。朝鮮側の説明によると、「6者の枠内での接触であり、6者会談と朝・日関係の進展、両者の懸案問題などについて意見を交わした」という。

 金桂官外務次官は協議の場で佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長に対し、「(日本は)われわれの民族的自主権を侵害し、危機を醸成している」と、総連に対する日本当局の弾圧を強く非難した。金次官は、「日本は金融制裁よりさらに深刻な政治危機を朝鮮側にもたらしている。これ以上進めば災難を招くので気をつけるべきだ」と警告したことも明らかにした。

 また帰国に際しても、「圧力だけでは問題解決にならないということを日本は知るべきだ」と強い口調で述べた。

 Q 今後の日程はどのように進むのか。

 A 9月初旬に開催予定の第6回6者会談第2ラウンドでは、各作業部会での協議結果が報告され、各国が今会談での意見一致事項を履行するための「ロードマップ」を作成する。その後に開かれる外相会合では、6者会談合意文書の履行を促すとともに、北東アジア地域の安全保障協力を強化する方法を論議することが予想される。

 今後の焦点は「次の段階の措置」に移る。

 会談終了後、金桂官外務次官は現在の論議を「現存する核計画である寧辺核施設の稼動中断と無力化、その最終的な解体」に関するものだと指摘、そのうえで解体には軽水炉の提供が前提となることを強調した。また、「核問題解決の基本は重油ではなく、(敵視)政策の転換だ」と朝鮮側の原則的な立場についてあらためて言及した。

 朝鮮半島非核化プロセスの今後の進展は、各国が合意文書に明記された義務事項をどのように誠実に履行するかにかかっていると言えるだろう。(李相英記者)

[朝鮮新報 2007.7.25]