top_rogo.gif (16396 bytes)

〈今月の金正日総書記−07年上半期−〉 「泰川の気概」、新たな時代精神誕生

 朝鮮半島を取り巻く国際情勢が新たな局面を迎え、国内で「強盛大国の黎明」が訪れているとされる中、金正日総書記は軍事、経済など各分野を指導した。上半期の活動を振り返る。

電力問題解決に重点

 「労働新聞」(朝鮮労働党中央委員会機関紙)、「朝鮮人民軍」(朝鮮人民軍最高司令部機関紙)、「青年前衛」(金日成社会主義青年同盟中央委員会機関紙)の3紙が元日に発表した共同社説は、今年の最優先課題に経済問題を取り上げた。

 これまでは通常、経済問題は「政治思想」や「軍事」のあとに言及されてきたが今年は、「われわれには偉大な指導思想と不敗の一心団結、強力な戦争抑止力がある」「より高く、より速く飛躍するすべての条件が整った」と強調。

 そのうえで、「経済強国建設は、現時期においてわが革命と社会発展の差し迫った要求であり、強盛大国の面ぼうを全面的に整えるための誇らしい歴史的偉業だ」と指摘した。

 1月21日発中央通信は、総書記の泰川4号青年発電所(平安北道)に対する現地指導を報道した。この際総書記は、同発電所建設者たちの精神を「泰川の気概」と高く評価した。

 以降、国内では「泰川の気概」を広める一大キャンペーンが繰り広げられ、1950年代の「千里馬精神」、1990年代の「江界精神」に次ぐ新たな時代精神が誕生した。

 朝鮮で電力は、石炭、金属、鉄道運輸部門と並ぶ「人民経済の4大先行部門」のひとつで、同部門に力を注ぐことが政策的に強調されている。

 泰川4号青年発電所への指導に続き、漁朗川1号発電所と軍民発電所(ともに咸鏡北道、2月8日発朝鮮中央通信)も指導した。

 最近は、興州青年2号発電所(慈江道、6月1日発朝鮮中央通信)を指導し、建設者たちが万年大計の建造物をりっぱに建設したことに大きな満足の意を表した。そして、「金日成主席が遺した自力更生の宝剣を力強く握り、この地に社会主義経済強国を建設すべきである」と強調した。

 指導が報じられた発電所は、いずれも最近新設された。

 また、6月1日発朝鮮中央通信が報じた江界市の工場と企業所への現地指導の際に、先軍政治を掲げる朝鮮を象徴する景色、「先軍8景」の一つである江界市の夜景を俯瞰した。総書記は、「不夜城の様を呈した将子江両岸のすばらしい全景」「電化された住宅」などを見ながら、江界市の変ぼうに大きな満足の意を表した。

胡主席の口頭親書

 外交面で注目されるのは、朝中両国の民俗祝日である小正月(陰暦1月15日)に際し、駐朝中国大使の招きによって3月4日、駐朝中国大使館を訪問したことだ。

 朝鮮では2003年頃から旧暦の伝統的な民俗祝日を大きく祝うよう国家的措置が講じられた。 

 朝鮮中央通信が訪問のきっかけである小正月について「朝中両国の民俗祝日」であると強調したことで、両国の共通点があらためて浮き彫りになった。

 またこの際、劉暁明駐朝中国大使により、中国共産党総書記の胡錦濤主席の口頭親書が伝えられた。最近では朝鮮の核実験直後である昨年10月19日に、胡国家主席の特別代表として訪朝した唐家璇国務委員が総書記との会談で同じように口頭新書を伝達している。

 このほか、6月25日、地方巡演中のロシアのM・E・ピャトニツキ国立アカデミー民俗合唱団の公演を鑑賞した。

昨年より減少

 朝鮮中央通信が伝えた軍視察は8回。その他軍関係の活動は6回伝えられた。

 朝鮮人民軍は4月25日、創建75周年を迎えた。

 これを慶祝する朝鮮人民軍陸海空軍部隊と朝鮮人民警備隊、労農赤衛隊、赤い青年近衛隊の閲兵式に参席した総書記は、閲兵式後、幹部席のバルコニーから熱狂的に歓呼する大衆に手を上げ答礼した。 

 昨年上半期に伝えられた軍視察は43回。報道で伝えられた限りでは今年は昨年より減少した。

BDA問題の解決

 5月5日発朝鮮中央通信が軍視察を伝えて以来、約1カ月、総書記の活動が報じられなかった。

 しかし6月以降は総書記の活動が再び報じられるようになる一方、米国のヒル国務次官補や国際原子力機関(IAEA)実務代表団の訪朝など、6者会談プロセスの進展が予想される出来事が続いた。

 6月25日には朝鮮外務相スポークスマンが、「BDAに凍結されていた資金がわれわれの要求どおり送金されたことにより、ついに厄介であった凍結資金問題が解決された」と、朝鮮中央通信社記者の質問に答えた。(呉陽希記者)

報道された07年上半期の軍視察および活動

[朝鮮新報 2007.7.6]