そこが知りたいQ&A−第21回北南閣僚級会談 なぜ成果がなかったの? |
民族重視貫徹できない南 【平壌発=文・李相英記者、写真・盧琴順記者】第21回北南閣僚級会談が5月29日から6月1日までソウルで開かれた。共同報道文が発表されたものの具体的な合意はなされず、次回の開催日程も決められないまま終了した。会談はなぜ成果なく終わったのか。Q&Aで見た。 Q 今回の会談は、開催前から悲観的な見方が多かった。 A 今会談は、米国の朝鮮に対する金融制裁解除問題が未解決のため、6者会談「2.13合意」の履行が遅れている状況下で開催された。
またこの問題と関連して、6者会談と北南関係の「速度調整」を主張する米国側の意向を受けた南側が対北コメ借款の履行を留保する姿勢を打ち出したこともあり、難航が予想された。 一方で、北と南は「2.13合意」の直後、約7カ月にわたって断絶状態にあった関係の正常化に合意、閣僚級会談が再開された。大きな流れで見れば、6者会談の再開や「2.13合意」など昨年の核実験以降の朝鮮半島情勢の新たな局面によって、6.15共同宣言の履行と北南関係の進展に拍車をかけることのできる環境と条件が整いつつあった。それだけに今回の会談の結果は残念というほかはない。 Q 会談ではどのような提案がなされたのか。 A 北側は、北南関係の諸問題を民族重視、民族優先の立場から解決していく原則を堅持する、対話の一方を刺激し北南関係を危うくする行為防止のための決定的な措置を講じる、政治、軍事、経済分野の「3つの障壁」除去など北南関係における根本的、原則的問題の解決に協議を集中させることを提案した。 一方南側は、朝鮮半島の平和定着に関する問題を強調し、▼軍事的緊張緩和および信頼構築に関する協議▼南北国防長官会談の開催▼南北鉄道の段階的開通などの提案を行った。 Q 共同報道文に反映された内容は。 A 北南双方は、過去20回にわたる閣僚級会談での成果と教訓を総括し、北南関係を「わが民族同士」の精神に基づいてより高い段階で発展させていくことで認識の一致をみた。 また、関係発展に向けて原則的かつ実践的な問題について互いの立場を十分に踏まえた提起をし、真しに協議した。 さらには、6.15共同宣言の基本精神に従って朝鮮半島の平和、北南間の和解と協力の促進に関する問題をこれからも研究、協議していくことにした。 双方は土壇場で共同報道文の発表にこぎつけ、会談決裂という最悪の結果は免れた。しかし、項目別の具体的な合意はなく内容の乏しいものとなった。 Q コメにこだわる北側の頑なな姿勢が会談の進展を妨げたという見方もある。 A 南側は会談開催前から、4月の北南経済協力推進委員会第13回会議で合意した40万トンのコメ借款について、「北側の『2.13合意』の履行如何によって提供の時期と速度を調節する」という立場を明らかにし、会談期間中もコメの提供を留保した。しかし、コメの借款提供は民族内部の相互扶助に関する問題であり、「2.13合意」の履行とリンクさせるべきものではないはずだ。北側は南側の姿勢を問題視し、合意の速やかな履行を求めた。またこの問題が北南関係の障害になってはならないと強調した。 南側の李在禎首席代表は会談期間中、異例ともいえる大統領との面談を行ったが、最後まで決断を下せなかった。本来の議題に対する実質的な論議に入れぬまま会談が空転した原因は、6.15共同宣言の精神に背き「6.15」を「2.13」に従属させた南側の姿勢にある。 北側は今会談を通じて、「北南双方が合意した問題が外部勢力の干渉に縛られその履行が中断し、北南関係が外部勢力との関係よりも後ろに追いやられ制限される悲劇的な現実が続いている」(全体会議での基調発言)と現在の北南関係の不安定さを指摘した。北南間のコメ借款合意の履行に関する問題は、南側の6.15共同宣言履行と北南関係発展の意志を計る尺度だといえる。 Q 今後の北南関係に及ぼす影響は。 A 北と南は閣僚級会談の再開で関係正常化への道を歩み始めた矢先、またしても、外部の論理に左右され「再開と中断を繰り返す悪循環」(北側・権浩雄団長)を露呈した。南側は今回の会談の教訓を生かし、民族重視の立場から問題解決を図るべきだろう。 今月中旬には、6.15共同宣言発表7周年を記念する民族統一大祝典が平壌で開催される。当局代表団の参加の可能性に注目が集まっている。各種経済協力事業も日程に上っている。6.15共同宣言の理念を堅持し、複雑な情勢を有利な方向に導いていく「成熟した北南関係の姿」を内外に示すことが何よりも求められる。 (関連記事) [朝鮮新報 2007.6.8] |