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そこが知りたいQ&A−第6回6者会談、なぜ空転したのか?

BDA問題 米国が不誠実な対応 朝鮮「われわれは準備完了している」

 北京で行われた第6回6者会談(19〜22日)は、マカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア」(BDA)にある朝鮮関連口座の凍結解除問題が決着付かず、核問題に関する議論を深められないまま休会した。朝鮮半島非核化に向けた初期段階の行動措置を取り決めた「2.13合意文書」の具体的な履行計画の策定は先送りとなった。

米の約束違反の経緯

 Q 3月初、ニューヨークで開かれた米朝作業部会は、和やかな雰囲気の中で行われた。こうしたことから、6者会談の合意履行は、全体的に良好な状況下にあると思われていただけに、今回の会談は予想外の展開となったが。

 A 各国の代表も「荒唐な出来事が起きた」(南朝鮮首席代表)といって当惑していた。

北京で行われた第6回6者会談(19〜22日)

 6者会談は、約1年の空白を経て昨年末に再開された。今回、会談が暗礁に乗りあげることになったBDA問題は本来、6者会談の再開に伴って解決されるべきものだった。米国は朝鮮側に制裁解除を約束し、今年1月のベルリン朝米会談では「30日以内に解除する」と期限も示した。しかし、1カ月後の第5回6者会談第3ラウンドで、朝鮮の核施設稼動中断や米国によるテロ支援国指定解除のプロセス開始などを盛り込んだ「2.13合意文書」が採択される時期に及んでも制裁解除の決定は下されなかった。

 当時、現地では協議筋から「米国内で制裁解除に反対する財務省を国務省が説得するのに時間がかかっている」との情報も流れた。結局は、会談終了後に米国首席代表のヒル国務次官補が「30日以内に解除する」と期限延長を一方的に宣言するに止まった。今回の第6回会談はそれから1カ月後の開催だ。朝鮮側が認める制裁解除のタイムリミットはとっくに過ぎていた。米国が動かなければ、何らかの問題が生じることは考えられた。

 Q 米国は、今回の会談に先立ってBDA問題に関する「最終調査報告」を発表した。ヒル次官補も「『2.13合意文書』履行に障害はない」と強気の姿勢を見せていた。

 A 対朝鮮交渉を担当する国務省のスタッフが、BDA問題を自分たちの都合に合わせて処理したのがそもそもの誤りだった。彼らは、朝鮮側がなぜ経済制裁解除問題を重視しているのかを見失っていた。

 BDA問題は単なる経済問題ではない。朝鮮側は9.19共同声明(2005年)採択後、その合意に反して米国が発動した経済制裁を自国に対する敵視政策の強化と受け止めた。制裁解除は、米国が朝鮮との信頼関係を構築していくために必要な最初のステップだ。朝鮮側は、米国との直接対話の場で問題の本質を再三にわたり強調した。しかし米国のとった措置は、あまりにも実務的だった。朝鮮代表団関係者は「誠意が感じられず、無責任な対応」と評価した。

「2.13」履行の今後

 Q 何が問題だったのか。

 A 米国が発表した「調査報告」は、凍結資金に関する処理をマカオ当局に丸投げするものだ。資金が全額返還されるのかどうかについて米国は関知しないという態度だ。それは、朝鮮側が米国の敵視政策転換の意思を確認することのできる行動ではなかった。したがって朝鮮としては、敵国である米国が動かなければ、「戦争抑止力の生産基地」(朝鮮代表団関係者)である核施設の稼動を中断することはできないとの姿勢で今回の会談に臨まざるをえなかった。

 判断基準として示されたのが「凍結資金の全額返還」だ。核問題を議論すべき会談の焦点が「資金返還」に移ってしまったのは、確かに「荒唐な出来事」だといえるが、その責任を追及されるべきは朝鮮ではなく米国だ。

 Q 「2.13合意文書」の履行はどうなるのか。

 A 「資金の全額返還が確認できなければ、問題解決と見なさない」という朝鮮の意向を遅ればせながら察した米国は、会談開幕の直前、担当者のグレイザー財務省副次官補を北京に派遣し「BDAに凍結されている約2500万ドルの資金を中国銀行にある朝鮮貿易銀行の口座に送金」すると発表した。しかし金融システム上の問題が浮上し、送金は行われなかった。参加国は当初、予定された会期を一日延長したが資金返還は確認されず、やむなく休会することになった。

 資金が返還されなかった理由が銀行業務に関する技術的な問題だったならば、「2.13合意文書」履行の大きな障害にはならないだろう。だから、会談が再開されれば具体的な履行計画を討議することになる。

 朝鮮代表団関係者は「われわれは準備を完了した。いつでも初期行動措置を実施できる」と語った。今回の事態で生じたスケジュールの遅れを取り戻せるかどうかは、米国側の出方による。BDA問題のような失態を繰り返すことなく、関係改善の意思を内外にアピールしたニューヨークでの朝米作業部会での議論を行動に移す決断をはっきりと示せば、朝鮮側は積極的に応えるだろう。(金志永記者)

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[朝鮮新報 2007.3.28]