top_rogo.gif (16396 bytes)

第5回6者会談第3ラウンド 非核化に向けた第一歩

朝鮮 寧辺核施設閉鎖、封印/朝米関係正常化会談開始

 【平壌発=金志永記者】朝鮮半島非核化の原則と方法が明示された9.19共同声明が履行段階に移った。8日から13日まで北京で行われた第5回6者会談第3ラウンドで、朝米をはじめとする各国は共同声明履行の初期段階行動措置を集中的に討議し、合意内容を盛った文書を発表した。朝米両国の敵対関係清算と信頼醸成を核とする9.19共同声明の公約が行動に移されることによって、東北アジアは新しい秩序改編の局面を迎えることになった。

信頼構築の行動

第5回6者会談第3ラウンドに参加した朝鮮側代表団

 朝鮮は9.19共同声明に沿い、自国の核放棄と米国の敵視政策放棄を「行動対行動」の原則に基づいて実現し、朝鮮半島非核化の目標を達成していく立場を堅持している。

 今会談で合意されたのは、そのような同時行動の初期の措置だ。合意内容には幾つかの特徴がある。

 一つは、それぞれの行動が互いに調整され、朝米信頼醸成の段階的な構築につながっているという点だ。

 朝鮮は、9.19共同声明履行の初期段階で寧辺の核施設を稼動停止および封印し、国際原子力機関(IAEA)の監視と検証を受ける。また、すべての核計画の一覧表を作成し6者会談参加国と協議する。

 一方、米国は朝鮮との関係正常化のための2国間協議を始める。優先議題として、朝鮮に対する「テロ支援国家」指定解除、「対敵国通商法」適用の終了作業を行う。

60日以内に開始

 去年10月に朝鮮が核実験を行って以降、米国の朝鮮に対するアプローチはそれまでとは異なるようになった。

 1年以上中断された6者会談が再開されると、米国はブッシュ政権になってから一貫して拒絶してきた朝鮮との2国間対話に応じ、6者会談の枠組みを維持することに関心を払うようになった。

 一方で、朝鮮は金桂官外務次官が指摘したように、米国の政策転換意志を基準にして多くの問題を判断している。

東北アジアの変化

 初期措置のための合意内容のもう一つの特徴は、それぞれの行動が互いに連動し、6者の新しい協調を導き出しているという点だ。

 9.19共同声明の履行は今後、東北アジア諸国間の関係の変化を伴うことになる。今会談の合意は、6者会談のすべての参加国に行動義務を付与した。朝鮮に対する敵視路線を追求している日本も例外ではない。

 会談で各国は朝鮮に対する支援を「平等と平衡の原則に基づいて分担」することについて合意した。

 そして、初期措置が履行されるのに従い開催されることになる6者外相会談の議題は「東北アジア安保協力促進方案模索」だ。会談を準備する過程で、相互信頼のためのさまざまな肯定的措置が引き続き講じられるべきであろう。

 6者会談は非核化に向けた行動開始とともに、朝米関係のより大きな変化を予告している。

流れに逆行する日本の敵視政策

「拉致問題」排除

 今回、非核化への第一歩が合意されたことにより、対朝鮮強硬策を追求してきた日本の立場は微妙なものになった。

 核問題当事者の朝鮮と米国は、1月中旬にベルリンで直接対話を行い「一定の合意」(朝鮮外務省スポークスマン)を遂げた。今会談は、そのベルリンでの「合意」を土台にして行われた。

 ほかの参加国は、会談の進展を前提にして交渉の準備に取り組むべき立場にあるが、日本は旧態依然とした「拉致問題」の主張に固執した。

 的外れの要求を持ち出す日本は今会談においても、はじめは傍観者だった。会談場で「拉致問題」を挙げたのは日本だけだった。日本代表団団長の佐々江賢一郎外務省アジア大洋洲局長は、釣魚台国賓館で行われる団長会議に出席し朝鮮を除く各国と接触を行ったが、論議を深められなかった。

 安倍首相は、会談に参加している日本代表団に「核問題が解決されても、すべての問題が解決されるわけではない」「拉致問題が十分に論議されるように」と指示をした。

 日本代表団が討議に本格的に入れたのは、会談の終わりに日本を除く各国が非核化へ向けた初期段階行動措置に合意することになったからだ。安倍政権の政策基調と矛盾しても、国際政治の論理と現実の前ではどうすることもできなかった。ほかの参加国が合意した行動措置を、「不参加」によって白紙化できる度胸も安倍政権は持ち合わせていなかった。

中国の「配慮」

 むしろ、ほかの参加国が日本に「配慮」をした。各国は、12日午前から13日未明まで、釣魚台国賓館で約16時間にわたり合意を導き出すための最終の立場調整を行った。この日、釣魚台国賓館では朝・日間の会合も行われたが、マラソン交渉中に国賓館外部には知らされないこのニュースを、中国側が日本の国会議員に伝えた。

 6者会談の中国側団長である武大偉外務次官は、訪中していた自民党の額賀前防衛庁長官にわざわざ場所を変えて会っていた。

 数時間後には釣魚台国賓館での協議が妥結される可能性が高いとのニュースが伝えられることを念頭に置き、中国は日本国内に向かって「日本は決して孤立していない」とのメッセージを送ろうとしたのかもしれない。中国側がこの面談を準備した真相は確かめられないが、6者会談の現場で起きていることを自国民に正確に伝達する意思と能力が日本側に欠如していることだけは事実だ。

 米国は今回の会談での合意を肯定的に評価している。一方、日本では首相が「拉致問題」に引き続き言及し、マスコミは北京発で「合意履行の悲観的展望」について伝えている。

 安倍政権の路線は国際政治の流れに逆行し、すでに限界に至っている。

金融制裁解除を5者に通報 米国「金次官をニューヨークへ」

 6者会談米国側団長のクリストファー・ヒル国務次官補は、9.19共同声明履行の初期段階行動措置と関連した合意が発表された13日、マカオの「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」と関連する金融制裁を米国が30日内に解除するであろうとし、これを「中国をはじめとする6者会談参加国に今日(13日)通報した」と述べた。

 朝鮮と米国は1月中旬にベルリンで行われた直接対話の場でもこの問題を論議しており、そこで米国は朝鮮側に「30日内の解除」を保障していた。

 また同日、今会談で設置が合意された朝米関係正常化と関連した作業部会のために、朝鮮側団長である金桂官外務次官をニューヨークに招請した事実を明らかにした。

[朝鮮新報 2007.2.21]