〈北南関係の現状〉 各分野で活性化の兆し |
関係回復 北側の確固たる意志 北側は年始から祖国統一問題と関連する立場を再三表明しながら、南政府が関係回復のための措置を講じるよう促している。また、各分野では当局関係が凍結された中でも活性化の兆しを見せている。北南関係の現状を分野別に整理した。 相次ぐメッセージ−消極姿勢 南当局の対応が注目
北側は新年の3紙共同社説で、経済建設問題とともに祖国統一問題を主要課題として提起しながら、自主統一偉業の全盛期を切り開くことに対してとくに強調した。1月17日には朝鮮政府、政党、団体連合声明を発表し、南政府が外勢に追従して反北対決と制裁に同調しないよう主張した。その直後にも朝鮮の幹部が相次いで連合声明支持談話を発表し、南政府が硬直した北南関係回復に努めるよう呼びかけた。 このように相次いで対南メッセージを送る中で1月30日、6.15共同宣言実践北側委員会総会が平壌で行われ、6.15は平壌で、8.15は南側地域で統一行事を開催することを提案した。 これら統一行事は、民間主催の行事ではあるが、05年から北と南の当局代表団も一緒に参加する民、官の行事として定着している。その意味でこの提案から、北南関係全般を修復させようとする北の確固たる意志をいま一度うかがうことができる。 北側のこの提案に対し、南側委員会の白楽晴委員長は1月31日、連合ニュースとのインタビューで、「去年12月平壌で行った北側委員長との面会ですでに共感した事項」と述べ、肯定的な評価をしている。 一方、南当局は、北南関係の回復を6者会談の進展と関連づけ、これを前提条件にするスタンスを取っている。 白委員長は、「(南政府が)意志があれば南北赤十字会談を先に開催するなど打開策はいくらでもある」「6者会談が進展して、朝米関係が解決したあとに動くという安易な姿勢では、いつまでたっても大国に引きずられてしまう」と述べながら、南当局が関係回復に努めるよう促した。 北側のメッセージに南側が積極的に呼応すれば、関係の回復にとどまらず新たな局面が開かれることが期待されるだけに、今後の南当局の対応が注目される。 開城工業地区事業−双方、大きな関心と意欲 1月24日、南の李在禎統一部長官が開城工業地区を訪問した。就任後初の訪北となった。 南のマスコミは、同長官の訪問は北南経済協力活性化に対する力強い意志の表れだと評価している。 一方北側は、去年7月から取ってきた南側人員の開城出入制限措置を解除し、今回の訪問を実現させた。また北側は、同時期に開城の北南経済協力協議事務所から人員を撤収させたが、去年12月から復帰させたと伝えられている。 朝鮮政府、政党、団体連合声明で開城工業地区建設を含めた民族共同の協力事業活性化に積極的な意欲を見せたことと同時期に、このような措置が取られたことは注目される。 要するに、双方が開城工業地区活性化に意欲を見せているわけだ。 南側の報道によると、開城を訪問した李長官に対し北側は、北南がすでに合意した軽工業原資材、地下資源開発協力を早急に履行しなければならないというメッセージを伝えたという。 南側では最近、民間からも開城工業地区事業に大きな関心が寄せられている。 「南北経済協力市民連帯」は6日、開城で経済協力専門家と市民活動家の参加のもとで、「開城工業地区活性化のためのシンポジウム」を開催した。この事業の必要性と現状、今後の方向性、市民団体の役割などについて認識を深めるのが目的だという。 1月26日には、開城工業地区に入居した企業の協議体である「開城工業地区企業協議会」創立大会がソウルで行われ、正式に結成された。 29の企業で構成された協議会は、04年6月、入居した企業代表らの集まりという形態から始まり、去年5月に社団法人の許可を得たが、朝鮮半島情勢の悪化で大会が持ち越されてきた。 政界、経済界約400人の参加のもとで行われた創立大会で報告者らは、「開城工業地区が国内中小企業の新しい活路になるようにする」「真の国際競争力を確保できるようにしなければならない」と強調した。 民間交流、協力−当局断絶の中でも続く 済州道と道民運動本部は、道民らの同胞愛を集め用意したミカンとニンジンを2日から北に送り始めた。これは98年から続けられている事業だ。1月28日には中国・長春で開幕した冬季アジア大会で北南選手団が共同入場した。 これに象徴されるように、当局関係が断絶された状態の中でも民間での北南交流協力はしっかりと続けられている。 「南北ナヌム共同体」は、北側に抗生剤および成長剤など約8000万ウォン(100ウォン=約13円)相当の医薬品を支援する意思を明らかにし、6日、医薬品を積んだ船舶が羅津港に向けて釜山港を発った。 また、北側と「わが民族ひとつになる本部」は1日、金剛山で養豚工場、歯科病棟建設に関する意向書に署名した。平壌に500頭規模の養豚工場を建設し、歯科用治療椅子10台を製作するという。 さらに、南側キリスト教系の人士20余人の平壌訪問(1月中旬)をはじめ、全国教職員労働組合、民主労総、韓国労総の金剛山紀行事業など交流、協力が活発に行われている。(姜イルク記者) [朝鮮新報 2007.2.7] |