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そこが知りたいQ&A−3紙共同社説の特徴は?

経済を第一課題に 戦争抑止力確保 「飛躍の条件が整った」

 朝鮮労働党中央委員会機関紙「労働新聞」、朝鮮人民軍最高司令部機関紙「朝鮮人民軍」、金日成社会主義青年同盟中央委員会機関紙「青年前衛」の3紙は、「勝利の信念に満ちて先軍朝鮮の一大全盛期を開いていこう」と題する共同社説を1日発表した(6面に要旨)。その内容と特徴についてQ&Aで見た。

 Q 昨年をどのように総括し、今年をどのように位置付けているのか。

 A まず、昨一年間をふり返り「社会主義強盛大国の黎明が訪れた偉大な勝利の年、激動の年」だったと指摘しながら、「長久かつ苦難に満ちた朝鮮革命の年代記において2006年のように国が堂々たる強国の地位に登りつめ、民族の尊厳が力強くとどろかされた時はなかった」と総括した。

 その成果として、「強力な自衛的国防力」、すなわち核の保有をあげた。

 また、「強盛大国の建設において転換的な局面が開かれた」としながら、「飛躍」の基礎を築いたことをあげ、さらに、科学、スポーツ、芸術分野での活躍を成果としてあげた。

 一方、今年は、「先軍朝鮮の新たな繁栄の年代が開かれる偉大な変革の年」だと位置づけている。

 今年掲げていくべきスローガンとして、「勝利の信念に満ちて先軍朝鮮の一大全盛期を開いていこう!」を提示した。これは共同社説のタイトルでもある。

 Q 今年の特徴は?

年初から生産に励む平壌326電線工場の労働者(6日) [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 A 今年の構成は、例年と変わりなく▼昨年の総括▼今年の課題▼祖国統一運動の課題と対外政策的立場―となっているが、大きな特徴のひとつは、課題の部分で、とくに経済問題に力点を置いていることだ。1番目にあげている。ちなみに2番目は国防力強化、3番目は思想意志的団結の強化だ。

 これまでは通常、経済問題は「政治思想」や「軍事」のあとに言及されてきた。それだけに今年は異例といえる。

 具体的には、「社会主義経済強国建設のための攻撃戦を力強く繰り広げるべきである」としながら、経済問題の解決に「国家的力を集中すべきだ」と指摘。人民生活の向上が優先課題だと強調した。

 課題としては、一昨年と昨年に続いてまず農業が強調され、次に「軽工業革命」の推進と「人民経済の4大先行部門」(電力、石炭、金属、鉄道運輸部門)への言及が行われている。

 Q なぜ経済が第一課題にあげられたのか。

 A 共同社説は、「わが革命は、新たな歴史的段階に入った」と宣言。「われわれには偉大な指導思想と不敗の一心団結、強力な戦争抑止力がある」「より高く、より速く飛躍するすべての条件が整った」と強調した。そのうえで、「経済強国建設は、現時期においてわが革命と社会発展の差し迫った要求であり、強盛大国の面ぼうを全面的に整えるための誇らしい歴史的偉業だ」と指摘している。

 要するに、核実験の成功により戦争抑止力を持つことができたので、米国の脅威に一方的にさらされることなく、安心して経済に力を注ぐことが可能になったということだろう。

 実際、昨年10月の核実験成功後、朝鮮国内ではついに経済建設に全力投球できる環境と条件が整ったという声があちこちで聞かれた。これが今年の指針となる共同社説にしっかりと明記されたことになる。

 Q 統一問題はどのように扱われているのか。

 A 今年のキーワードは「民族重視」と南朝鮮の「大統領選挙」といえる。

 共同社説は、「民族重視、平和守護、団結実現によって6.15統一時代を輝かしていこう!」というスローガンを提示しながら、とくに民族重視の立場を確固と堅持することを強調。「民族の意思や利益を絶対的な基準とし、外部のいかなる圧力と恐喝にも屈することなく、自主的支柱と民族優先、民族擁護の原則を確立すべきだ」と指摘した。

 今年、南朝鮮で行われる大統領選に言及するのも異例で、「反保守大連合を実現し、大統領選挙を機に売国的な親米反動保守勢力を決定的に埋葬する闘争をいっそう力強く展開すべきだ」と南朝鮮の人民に呼びかけた。

 また、ハンナラ党に対する名指し批判、先軍政治の擁護を呼びかけたことなども目をひく。朝鮮は機会があるたびにこのような立場を取ってきたが、共同社説で言及することはほとんどなかった。

 Q 南朝鮮では「内政干渉」という指摘もある。

 A ハンナラ党のスポークスマンや事務総長などが2日、そのように述べた。

 これに対し祖国平和統一委員会は4日、書記局報道を発表し、「対米追随と民族反逆で再執権野望を実現するため血眼になっている自らの醜態を隠し、民心と世論を誤報しようとする愚かなまね」だと一蹴した。

 Q 対米、対日メッセージはあるのか。

 A 「わが民族の内部問題に対する米国の干渉と妨害策動を断固排撃すべきだ」とする原則的立場の表明にとどめ、踏み込んだ対米メッセージや露骨な反米の言及は見られなかった。対日メッセージも全くない。

 Q そのほか気づいた点は。

 A 「わが軍隊と人民は、すべての分野で誇らしい成果を収めた」などと、文中の主語を「わが軍隊と人民」と表記している点が、昨年との違いとしてあげられる。昨年は「われわれ」と表記していた。

 軍優先の方針は今後も堅持し、いっそう国防力を強化していくという意思の表れとも取れる。経済を第一課題に挙げてはいるが、この方針がその前提になっているのだろう。

 また、金日成主席生誕95周年(4月15日)を「民族の一大慶事として意義深く迎えること」が強調された。これは、昨年の共同社説から強調されてきたことだ。

 そして「われわれはめでたい今年を、主席の富強祖国建設の構想がさらにりっぱに実現される年に、全国が活気に満ちあふれる年にすべきだ」と指摘している。

 これまでも、金日成主席生誕90周年を迎えた02年に経済管理改善措置が取られたり、朝鮮労働党創建60周年を迎えた05年に「第2の6.15」が到来するなど、大きな記念日のある年には画期的出来事が起きた。

 「めでたい今年」−特別な措置が取られたり大きな転換が起きることも予想される。(姜イルク記者)

[朝鮮新報 2007.1.12]