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南武、川崎、鶴見、東京第6幼稚園 合同「お店屋さんごっこ」

遊びの中から社会を学ぶ コミュニケーション、造形、朝鮮語

「コマプスムニダ!」とお金を受け取る

 「サセヨー(いらっしゃい)!」「サセヨー!」

 18日、南武朝鮮初級学校(神奈川県川崎市)の体育館で開かれた同校付属幼稚園、川崎朝鮮初級学校付属幼稚園、鶴見朝鮮幼稚園、東京朝鮮第6初級学校付属幼稚園合同の「お店屋さんごっこ」。

 会場には、4つの園の幼児(2〜6歳)ら66人が作った、ベビーカステラ屋、ホットドッグ屋(南武)、おにぎり屋、お面屋(川崎)、おすし屋、服屋(鶴見)、お菓子屋(東京第6)がずらりと並んだ。

 威勢の良い「売り子」さんたちは、元気いっぱい「サセヨー!」と叫んでいる。女の子の仲良し3人組は、リズムに合わせて「サセヨ、サセヨ、チョーバブル サセヨ(おすしを買ってね)」と、かわいい動作と手拍子で客引きをしている。タマゴ、まぐろ、えび、いくら、太巻きなどのお寿司の詰め合わせが売られていた。

大好きなアイスクリームににっこり

 にぎやかな呼び込みに誘われるようにお店の前にやってきたお客さん。商品を間に挟んで、売り手と買い手が対面する形になった。すると、つい先ほどまで威勢の良かった売り子さんたちが突然押し黙り、お客さんも財布を触りながらもじもじ…。どうやら、違う幼稚園に通う子同士、「人見知り」をしてしまったようだ。

 助っ人に現れた先生がお店側の園児に寄り添い、「ムオシ チョアヨ(何が欲しいですか)?」と聞くよう耳打ちすると、お店の子たちはいっせいに「ムオシ チョアヨ?」と声をそろえる。一方、お客さんの方は、圧倒されてしまったのか泣き出しそうな(?)様子。

 ついにこちらも先生が寄り添って、「タルラヨ(ちょうだい)」と導いた。お財布から紙で作ったお金を出すと、お店側からいっせいに伸びる6本の手! 売る方の子どもたちはやる気満々である。

恒例行事

「サセヨ! サセヨ!」

 尹守枝先生(鶴見)の話によると、「お店屋さんごっこ」には、幼児教育における社会・造形・音楽リズム・朝鮮語・数かぞえ・健康の6つの領域の内容が含まれているという。

 神奈川県にある3つの幼稚園(鶴見・川崎・南武)では、現在、毎月一度の教員会議を定例化し、保育研究などを具体的に行っている。7月には年長組の交流会、8月には年長組合同宿泊保育も行われ、10月には県あげての幼稚園研究保育も行われている。

 過去20年以上絶え間なく継続されてきたこれらの研究活動により、同県では保育の質を高めてきた。合同「お店屋さんごっこ」は今年で5年目のイベントになる。園児らが物を作り、売り買いする過程で、遊びの中から社会のルールを知るのが目的の重要なポイントでもある。

物作りの楽しさ

大繁盛のおにぎり屋さん

 買い物袋の中にたくさんの「商品」を入れた子どもたちの表情はみな、とても満足そう。女の子たちは、紙粘土を星型にくり抜いてピンクや黄色の色をつけたクッキーと本物のベビーカステラとを見比べている。崔談妃ちゃん(川崎)は、「こっちはかわいいけど、こっちは食べられるから…」と、どちらも気に入った様子。

 ベビーカステラ屋で働いていた尹恵英ちゃん(南武、年長組)は、「ベビーカステラ作りはおともだちみんなでやったの。たこ焼きをやく機械に材料を入れてひっくり返して。でも、やけどをする人はいなかったのよ」と話してくれた。

 金貴映先生(南武)は、「本校では毎月『食育』に関する取り組みを行っている。園児たち全員が、子ども用の包丁を持って料理もする。異年齢保育は、年長さんが下の子たちの面倒を見るという意味で意義深いもの」と話した。

 金未生先生(東京第6)は、園児ら全員でお菓子屋さんに並べるポッキー、クッキー、アイスクリームを作ったと話しながら、「準備期間中インフルエンザにかかる子どもが結構いて、作業は年齢を問わずみんなで行った。子どもたちが大好きなお菓子を紙粘土、割り箸、型抜き、ビーズ、新聞紙、折り紙などを使って楽しく作った。大きい子が小さい子を手伝う姿は日常的に見られるもの。たくさんのお友だちと遊びを通して触れ合うのは良いこと」と語った。

ホットドッグのからしぬりに大忙し

 また、南明華先生(川崎)は「お面作りを各班ごとに行った。年長組はハートや星などの模様を上手に描き、小さい子たちはクレヨンを持って自由に描いた。商品にはそれぞれの個性が光っている」と話した。

 皇甫繭香先生(鶴見)は、「年に一度の合同イベントにはたくさんの子どもたちが集うので、みんなとても楽しみにしている。普段は保育班から年長さんまで全員合わせても20人くらい。遊びを通してたくさんの友だちと触れ合い、コミュニケーション能力を高めるのもねらいのひとつ」と述べた。

 「お店屋さんごっこ」が終了すると、3人の男の子たちが折り紙で作ったパヂ・チョゴリとチマ・チョゴリを持って駆け寄ってきた。「イゴッ チュルレヨ(これ、あげる)」。見ると結構複雑な折方である。きっと子どもたちは一生懸命作ったのだろう。

 「コマワヨ(ありがとう)」と言うと、子どもたちの顔にぱぁっと喜びの表情が浮かんだ。(金潤順記者、撮影=盧琴順記者)

[朝鮮新報 2007.12.21]