東京第9初級でオリニフェスタ 幼児、父母ら 民族教育を実体験
ようこそウリハッキョへ
幼児、その父母らに朝鮮学校について知ってもらおうと6月30日、東京朝鮮第9初級学校が主催するオリニフェスタが同校で催され、学齢前の幼児ら30人(5カ月〜5歳)とその父母らが参加した。フェスタは、東京第9初級生徒らにとって幼い子どもたちと触れ合い情緒を育む場として、若い父母らが朝鮮学校を訪れる絶好の機会として定着している。中杉ポクスンア会、練馬チャララ会など同校学区のオンマとオリニ(母親と子ども)サークルでは、当日まで東奔西走。会場装飾など学校側と協力し合い準備を進めてきたという。
歓迎公演、大好評
東京第9生徒らによる歓迎公演
「きゃー!」「わーい!」
元気いっぱいの子どもたちが続々と集まってきた。生徒らは校歌など朝鮮の歌を歌いながら場を盛り上げている。例年のように行われてきた歓迎公演は「ようこそウリハッキョへ」という横断幕を掲げる舞踊、歌などで構成された。
演目は主に、昨年度に行われた学芸会で披露されたもの。生徒らの日本語による演劇に父母らの笑い声も聞こえてくる。終盤、生徒らが「一緒に歌いましょう!」と客席の幼児の小さな手をとり、一緒に手拍子を叩く場面も見られた。
また、朝鮮大学校教育学部保育科の生徒らは、エプロンシアター、パネルシアター、造形遊び、手遊び、紙芝居などを披露し幼児らの喝采を浴びた。キムチを作り上げていく過程を描いた演劇はオモニらの爆笑を誘った。
一方、昼食時には同校オモニ会がカレーライスをふるまった。
ゆとりとつながりを
子どもたちにかけより「一緒に歌おう!」と手を引く生徒ら この日午後、父母らは朝大教育学部・慎栄根助教授による講演「今、子育てに求められているものって何? 〜現代の子育て環境のなかでできること、すべきこと〜」を聴講した。慎助教授は子育てにおいて「心のゆとり」「社会的なつながり」をもつことを重要議題として取り上げ、さらには子どもの立場に立って考えることの意味合いについて説いた。とくに、子育ての環境は今日、険悪であるものの焦らずにゆとりを持ち、在日1世に倣った子どもの「基礎体力」、とりわけあいさつ、時間厳守など子育ての基本を受け継いだ教育を心がけてほしいとし、「新しいタイプの子育て」を模索する必要はないと指摘。一方で「核家族化」が進む昨今、「自分ひとり」ではなく同胞同士のつながりを大切にし前向きな子育てに挑んでもらいたいなどと鼓舞した。
今回初めて行われた専門講師による子育て講演。参加者らは深くうなずきながら、耳を澄ました。
楽しみと息抜きを
「お兄ちゃん、お姉ちゃん」らと記念写真におさまる子どもたち 今回、託児室を設けるなど若い同胞父母らが朝鮮学校に足を運んでくれるようにとの配慮がいたるところで見受けられた。恒例化している生徒らの公演にプラスアルファの要素をどう組み入れるかに神経を使ったという。
一方、女性同盟支部などで把握している名簿以外の若い学父母らにもフェスタに参加してもらおうと地域のオリニサークル役員らは、「横のつながり」を頼りに奔走。若い学父母らの要求を随時、聞いて回っているそうだ。しかし「対象を探すのは難しい」という切実な声も聞かれた。
それでも「子どもが楽しめて、かつ普段子育てに苦慮する親の息抜きができる場を提供していきたい」(韓未娜さん、37、中杉ポクスンア会)とオリニサークルメンバーらは意気込んでいる。ポクスンア会では恒常的に東京第9で集うことがなにより大事であると考えている。
だからウリハッキョ
「経済的な面、弁当を作る、学校までは1時間かかるなど正直負担もある」−こう話していた参加者のひとりは、5歳の幼児を連れてこの日フェスタ会場を訪れた。同参加者は以前、たまたま参加した同胞らが集う焼肉モイムの場で、東京第9初級の所在地などを確認。数日後、居住地域の女性同盟支部から連絡があり、初めてオリニサークルに出向いた。
自身は専門学校に通っていた頃、朝鮮人であることを隠していた。「子どもに自分のような体験をさせたくなかった。朝鮮人として堂々と生きてほしいから。だからウリハッキョに通わせている。上の子を通わせ始めた数年前の、ウリハッキョのあの温もりが忘れられない」
来年4月、東京第9初級にこの日連れてきた子どもを入学させるという。
一方、同校の鄭仁秀校長は「ウリマル、勉強、あいさつ、掃除という4つに力を入れたい。そして地域同胞と団結しウリハッキョを守っていく」と語っていた。(李東浩記者)
[朝鮮新報 2007.7.9]