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京都・同胞障がい者年金訴訟、最高裁判決 外国人差別を追認、上告棄却

 旧国民年金法の国籍条項を理由に障害基礎年金が支給されないのは「法の下の平等に反する」として、聴覚などに障害がある京都市の在日同胞らが日本国に対して不支給処分の取り消しなどを求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(堀籠幸男裁判長)は25日、原告側の上告を棄却。国の裁量権を幅広く認め、不支給を合憲と判断した京都地裁、大阪高裁の判決が確定した。

 最高裁は、年金の不支給や救済措置を講じないことは違憲ではないと判断。しかも、日本が批准する国際人権規約に違反するという訴えについては上告受理申し立てを却下し、判断すら行わないことを事前に通知していた。

判決の言い渡し後に行われた報告集会(25日、参議院議員会館)

 この判決に対して原告団長の金洙榮さん(55)は、原告らの厳しい生活状況にふれながら「もう訴えるところもない。すべて終わった」と虚無感を露にした。今後は国連など国際社会に訴えていきたいと語った。

 弁護団は「非常に残念だ。納得できる判決理由もなく腹立たしい。国際人権規約は日本が批准しているものなので何らかの判断があってしかるべきだ」と指摘した。

 金さんら原告7人は2000年3月、同胞や日本人の支援の下、障害基礎年金の不支給決定の取り消しを求め訴訟を起こした。しかし、03年8月、京都地裁は「国籍条項は立法の裁量範囲内」として原告の訴えを退けた。控訴審でも大阪高裁は原告の訴えを退けた(05年10月)。05、06年には合計約7万人分の署名を国会に提出。厚生労働省との交渉も行ったが訴えは実らなかった。

 日本の年金制度では、1959年発足時に国籍条項が設けられ在日外国人は対象から除外された。82年の法改正で国籍条項は撤廃されたものの救済措置はとられず、当時20歳以上だった外国籍の障がい者らは無年金の状態に置かれてきた。

 さらに、任意加入時代に加入しなかったため障がいを負ったものの無年金状態になった日本人の学生や主婦らについては、2004年に救済措置がとられたが、在日外国人については放置したままだ。厚生労働省は「加入しなかった者」を救済しながら「加入できなかった者」を放置するという不平等を容認してきた。今回の司法判決はこうした国の判断に追従し在日外国人差別を黙認するものだ。

 金さんらの8年にわたるたたかいの過程で、支援の輪が全国に広がった。年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会の李幸宏代表は「今と違う流れを引き寄せなければならない」としながら、国連への訴えなどさまざまな方法を模索し取り組んでいきたいと述べた。

 京都、大阪、福岡では在日同胞の高齢者たちが老齢年金の不支給は違憲として国家賠償などを求め訴訟を起こした。大阪では、「(外国人の扱いは)立法府の裁量範囲内」などとして原告の訴えを棄却した1、2審の判決が確定した。京都も同様の理由で京都地裁によって訴えは棄却。大阪高裁で控訴審が進められている。福岡は9月18日に提訴した。(泰)

[朝鮮新報 2007.12.27]