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熊本朝鮮会館減免税訴訟における最高裁の上告棄却は恥ずかしい行為 熊本朝鮮会館問題を考える市民の会、永好和夫

 11月30日、最高裁は、熊本朝鮮会館の固定資産税等減免税措置に関する福岡高裁判決(2006年2月2日)に対する幸山政史熊本市長の上告を棄却した。裁判のきっかけは、熊本朝鮮会館(熊本市九品寺二丁目)における熊本市の減免税措置に対して「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)の代表が起こした住民訴訟である。熊本地裁の合法判決に対して福岡高裁が違法判決を出し、最高裁は熊本市長の上告を認めず福岡高裁の違法判決を容認する結果となった。

 朝鮮会館は、昨年の国連人権委による勧告(ディエン勧告)でも指摘されているように外国人差別、憎悪が蔓延する暴力的日本社会空間において、在日朝鮮人の人権を擁護し、生活を支えていく上で重要な役割を担っているだけでなく、会館の利用は日朝友好の場として日本人に対しても広く公開されており、その公益性と減免税の正当性は議論の余地がないほど明らかなものである。

 そもそも『救う会』による提訴は、朝鮮会館の公益性を問うのが目的ではなく、『拉致問題』を政治利用して国民に朝鮮への敵愾心を植え付け、在日朝鮮人を弾圧することにあることは明らかである。福岡高裁の違法判決は司法の立場からみても、国際社会における諸条約からみても到底許されない極めて異常なものであり、朝鮮に対する脅威を煽る極右政治家の介入も指摘されている。

 近年の朝鮮会館およびその関連施設、在日朝鮮人に対する政治的弾圧、暴行、人権蹂躙は極めて深刻な状態にあり、国際社会からも強く非難されている。今回の最高裁の判断は、人権を守るべき司法が在日朝鮮人の人権擁護を放棄した恥ずべきものであり、日本が『人権蹂躙国家』であることを世界にさらけ出したものといえる。そして、このような行為は近隣諸国との友好を否定し、国際社会からの孤立をさらに深める結果となるであろう。日本人の良心はいったいどこへいってしまったのだろうか?日本が“いつか来た道”を歩まぬことを願うばかりである。

 わたしたち熊本朝鮮会館問題を考える市民の会は、最高裁の上告棄却に対して強く抗議する。そして、今後も行政、日本国民へ朝鮮会館の公益性の理解を求めるとともに、在日朝鮮人の方がたの人権が侵害されない社会となるよう努めていく所存である。

12月7日

[朝鮮新報 2007.12.8]