朝鮮学校の待遇改善 愛知県で活発な要請活動 |
15市4町が助成金交付 愛知朝鮮学園はこれまで、愛知朝鮮中高級学校、東春朝鮮初級学校、豊橋朝鮮初級学校、名古屋朝鮮初級学校、愛知朝鮮第7初級学校の教職員、学父母らとともに、生徒が居住する各地方自治体に対し、待遇改善などの要請運動を根気強く行ってきた。その結果、愛西市が新たに助成金の交付を認め、県下では15市4町が助成金の交付を認めたことになる。これは5年前に比べ、9市3町増えたこととなり、同胞たちは勇気づけられ、喜ばしいことだと歓迎している。 32人の代表が要請
5校の校長と教育会、オモニ会の代表ら32人は8日、愛知県県民生活部学事振興課私学振興室の近藤正人室長に「愛知朝鮮学園に対する2008年度私立学校経常費補助金」の増額を求めた。 席上、愛知朝鮮学園の文光喜理事長は、盧武鉉大統領が平壌を訪問するという今日の状況において、朝鮮学校に通う在日コリアンの子どもたちには、統一国家の海外公民として教育環境がさらに改善されるべきだと指摘。そのためにも、来年度の予算作成において教育補助金の大幅な増額を図るためにも学父母の声を聞いてほしいと述べた。 代表らは近藤室長に要望書を手渡し、全員が意見を述べ活発に意見交換した。 要望書は、@愛知朝鮮学園を「私立専修学校」なみに認め、公的支援を実施すること、A愛知中高には「授業料軽減補助」を、幼稚園とその他の初級学校には「経常費補助」と「耐震補強補助金」の交付を実施すること、B朝鮮学園の予算に対し20%以上の「経常費補助」を実施すること−などを求めた。 代表らは、「朝鮮学校は、1世の父母の血と汗と涙の結晶であり貴重な財産。今は3世から5世の子どもたちが学んでいる」「私たちは日本に住む住民として所得税、市県民税、法人税を滞納することなく納めている。それなのに、なぜ朝鮮学校には還元が少ないのか」「助成金の引き上げ率が低いのはなぜなのか。先日、南朝鮮から来た登山家と大学の先生が朝鮮学校を訪れ、エベレストより高い立派な事業を行っていると賞賛していた」などと率直に意見を述べた。 私学と同等の補助を 豊橋市に住む朴幸子さんは、「幼い頃、日本学校に行っているときは朝鮮人に生まれたことが嫌で、親を恨んだこともあった。今は子どもたちを朝鮮学校に通わせて、朝鮮人として日本学校で学べなかったことを子どもたちから教わっている。このようなすばらしい学校に、なぜ公的支援を与えないのか」と語った。 東春初級オモニ会の李恵仁会長は、「先日、雨が降っているときに学校に行ったが、校舎のひびから雨漏りしていてバケツを置いて授業しているのを見て涙が出た。今年はすでに2回も大きな地震が起きており、発生可能性の高い東海地震のことを考えると夜も眠れない。なんとか公立と同等の対策が講じられないものか」と訴えた。 瀬戸市に住む花山美和さんは、「私は日本人で、子どもを朝鮮学校に入れることがためらわれたが、生き生きした子どもの姿を見て今は後悔していない。だが、トイレなど老朽化した校舎を見ると胸が痛む。県の補助金で直してほしい」と述べた。 助成獲得のため運動 近藤室長は学父母の意見を聞きながら、「在日コリアンの方々が、どんな思いでアイデンティティを守りながら民族教育を行ってきたかがよくわかった。愛知県としては、私学助成が大変苦しい中でも朝鮮学園に対しては、毎年6%以上の伸び率で7年間続けてきたことを維持、確保したいと思っている。大幅増額については、予算を組むすべての関係者の合意を得ない以上大変厳しい環境にある。多文化共生の観点からなど、行政として何か新しいことができないか、互いに考える必要がある」と述べながら、機会を見つけ朝鮮学校を訪問することを約束した。 一方、文光喜理事長と総連名駅名西支部の金龍洙委員長、名古屋初級の趙京煥校長らは10日、服部彰文・弥富市長を訪ね、同校の生徒に教育補助金を支給するよう要請した。 総連愛知県本部では、今後も21全大会の決定実現に向けて「県の助成金増額と朝鮮学校生徒が居住する県下市町すべてからの教育助成金を獲得する運動」を力強く推し進めていく計画だ。【愛知支局】 [朝鮮新報 2007.8.27] |