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08年度から奨学生応募資格の認定を、朝大と朝高校長会 朝鮮奨学会に要望書

学父母、学生の声を代弁

 朝鮮大学校(張炳泰学長)と朝鮮高級学校校長会(会長=東京朝鮮中高級学校・愼吉雄校長)は連名で、財団法人朝鮮奨学会(崔宣雄、具文浩代表理事)あてに、民族学校学生への奨学生応募資格認定に関する要望書(6月9日付)を郵送で提出した。朝鮮大学校は2003年3月に同様の要望を行っているが、11校の朝鮮高級学校が網羅された校長会との連名による要望は今回が初めて。

 朝鮮奨学会による奨学金は現在、日本の高校、大学に在学する同胞学生に限って募集し、選考によって支給されている。支給額は年額で高校生が12万円、大学学部生が30万円で、返還義務はない。

 近年、民族学校をめぐる教育権利は大きく改善され、大学、大学院、国家資格の受験資格取得、JR定期券の差別撤回、さらにインターハイ、各種選手権大会、公式試合への参加資格が認められるなど、新たな状況が開かれている。

 これとは対照的に、同胞による奨学援護機関である朝鮮奨学会は、引き続き民族学校生徒に門戸を閉ざしており、これに対して、是正を求める在日同胞学父母や学生の声が一段と高まっている。

 朝鮮大学校や朝鮮高級学校校長会では今後、この問題の所在を広く紹介するために、朝鮮学校の教員や同胞弁護士、日本の学者などによるシンポジウムなどの開催も予定している。同胞学父母の間でも、改善を求める声がかつてなく高まっており、要請活動は今後、活発化することが予想される。

 同胞による民族学校には朝鮮大学校のほか、高校に該当するものとしての朝鮮高級学校が11校、韓国学校高等部が4校ある。

 要望書の要旨は次の通り。

 朝鮮奨学会はすでに100年を超える歴史を刻んでおり、その間、同胞学生の奨学援護機関として在日同胞社会の発展に大きく貢献してきたことは、あまねく知られているところである。

 民族学校をめぐっては、長らく公式試合への参加の道が閉ざされていた朝鮮高級学校学生たちが、高体連主催のサッカー選手権大会やラグビー選手権大会などに正式参加し、活躍する姿がテレビでも放映され在日同胞に力を与えている。

 また、JR定期券問題の解決や地方自治体による公的補助の適用など、在日同胞学生をめぐる教育権利の状況においても、大きな改善をみている。

 このような従来とは異なる好ましい変化のなかで、民族学校の学生たちや同胞学父母の権利意識がいつにも増して強まっており、民族学校の学生に対する奨学援護問題、なかんずく、同胞により運営される朝鮮奨学会による奨学生応募資格認定を求める声が一段と高まっている。

 朝鮮奨学会のホームページの文言を通じて確認できることは、朝鮮奨学会の事業目的が、成績優良でありながら経済的に困難な「日本在留の同胞学生」に対し奨学金を給付することにあることだ。

 現在、「日本在留の同胞学生」のなかには、種々の理由によって日本の学校で学んでいる学生がおり、民族学校で学ぶ者もいる。

 日本に在留する同胞学生たちは等しく学ぶ権利をもっている。

 日本社会において「格差」が拡がる中、経済的な困難を理由に進学を断念したり、勉学の道を中途で諦めざるをえなかったり、その可能性を十分に発揮できないでいる同胞学生も少なくない。今日のように奨学援護が強く求められている時期はない。

 しかるに「日本在留の同胞学生」への奨学援護を事業目的としている朝鮮奨学会の事業において、日本学校で学ぶ同胞学生のみならず、同じ「日本在留の同胞学生」である民族学校に学ぶ学生たちにもその応募資格が認められることは、朝鮮奨学会が立脚する理念と目的に符合しており、それを否認する合理的な理由は見受けられないと考える。

 朝鮮奨学会においては、民族学校学生への奨学金適用問題が長らく論議されてきたとのことだが、いまだ実現されていない。ちなみに、2003年3月7日付の朝鮮大学校による貴会への要請に対し「引き続き慎重に検討を重ねてまいりたい」との返答書が出されてすでに4年が過ぎようとしている。

 多くの在日同胞学父母の中には、「同胞学生のための奨学事業を看板に掲げる朝鮮奨学会がなぜ民族学校に通う学生たちを除くのか理解できない」という素朴な疑問がある。民族学校に通う学生たちも「自分の親せきは日本の高校や大学に通って朝鮮奨学会の奨学金をもらっているのに、なぜ民族学校に通う私たちには応募資格さえないのか。同じ同胞、同じ学生なのに資格がないのはおかしい」という意見を述べている。

 私たちは、学生たちの悩みなどを真しに聞き入れるべき教育者の立場から、同胞学父母や学生たちの素朴な疑問に根ざした要望が一日も早く実現されるべきだと考えている。

 朝鮮高級学校学生をめぐっては、2004年から各大学の個別審査による受験資格が認定されている。朝鮮大学校の学生については、法務省による司法試験第一次試験の免除(04年7月)、厚生労働省による保育士の受験資格の認定(同年12月)および社会保険労務士の受験資格の認定(05年1月)、国税審議会による税理士の受験資格の認定(同年5月)がなされている。

 これらの事実は、朝鮮奨学会による民族学校への奨学生応募資格において、教育的配慮からの認定と救済が十分可能であることを立証している。

 朝鮮高級学校、朝鮮大学校など民族学校学生への朝鮮奨学会による奨学生応募資格の認定は、「日本在留の同胞学生」のための奨学事業を進め、民族性と国際性の豊かな有為な人材をより多く育成するために尽力してきた朝鮮奨学会への在日同胞の幅広い支持と関心をさらに高め、勉学意欲をもつ学生たちを大きく勇気づけるものと考える。

 以上のような理由により、朝鮮大学校と朝鮮高級学校校長会は、朝鮮奨学会による奨学生応募資格の認定を願う学父母や学生たちの声を代弁して、朝鮮高級学校や朝鮮大学校の学生など民族学校の同胞学生に対し、08年度から朝鮮奨学会奨学生への応募ができるように、今年度中に具体的措置を講じてくれることを要望する。

[朝鮮新報 2007.8.3]