そこが知りたいQ&A−〈総連中央の不良債権問題〉 RCC、安倍政権の不当性はどこに? |
常識無視し一括返済を要求、国家権力を総動員 総連中央会館の強奪はかる 安倍政権は現在、反朝鮮策動の一環として総連を政治弾圧し、さらには瓦解させようと国家権力を総動員して総連中央会館を強奪するために狂奔している。この問題の本質がどこにあり、安倍政権の政治的企図と弾圧の本質がどこにあるのかをQ&Aで見る。 Q 整理回収機構(RCC)の不当性はどこにあるのか。 A 現在、RCCは日本当局の指示のもと、総連中央会館を競売にかける強制執行の準備を進めており、さらに他の総連施設の競売申立てや預金の差し押さえまでも行おうとしている。これは、総連の債務返済のための誠意ある公正な提案を無視し続けてきたRCCの暴挙だ。 総連は、2003年2月に返済の義務を負うべき関連債務を確認した後、数回にわたり和解案を示してきた。今年2月に示した最終和解案は、毎年5億円を8年間支払い、別途4年の間に30億円、合計70億円を支払うというもので、残債額についても真摯に協議するというものだった。この金額は、不良債権処理の前例や総連の支払い能力からして最大の誠意を示したものだ。 これに対してRCC側は、3年間毎年5億円ずつ、4年目には残債額に対する年5%の利子(約31億円)を含めた全額を一括して支払えという、とうてい実行不可能かつ理不尽な案を押し付け、和解交渉を一方的に破綻させて強制執行への意思をあらわにした。 債務処理の交渉の歴史に、このような全額一括返済を要求した和解交渉は前例がなく、政治的圧力を背景にしたものと判断せざるをえない。 また、抵当に入っているわけでもなく、担保にされているわけでもない総連中央会館の売買問題についていえば、市場価格に基づく一般的売買で、販売額全額をRCCに返済することを前提にした合法かつ正常な取引である。にもかかわらず、これを事件化し取引を破たんさせた。 日本当局とRCCの一連の行為は、債権回収というよりも、総連の活動拠点そのものを物理的に除去することに真の目的があるということを露呈したものだ。 Q 安倍政権の狙いはなにか。 A 総連中央会館売買問題を事件化して破たんさせたことは、安倍政権が発足以来一貫して強行してきた総連に対する政治弾圧の一環である。 安倍政権発足後、反朝鮮、反総連の敵視政策が強行される中で、「薬事法違反」「税理士法違反」などを口実に、総連関連施設に対する不当な強制捜索が数百人の警察官動員のもと、装甲車まで投入して11件、約50カ所に対して行なわれた。その過程で善良な同胞が警察官から不当な暴力行為を受けるという事件も発生した。これは、歴代政権下では考えられなかった暴挙で、前例のない異常事態である。 RCCの債権回収という経済問題も、安倍政権下では政治問題に変質し、RCCが法と常識、慣例を完全に無視した強圧的な姿勢をとるに至ったことは明白である。6月12日、総連中央会館売買問題が毎日新聞にリークされるやいなや、安倍首相は異例にも、「朝鮮総連はその構成員が拉致をはじめ犯罪に関与してきたことが明らかになっている。破壊活動防止法に基づく調査対象にもなっている」と発言した。 この発言をみても、総連中央会館の合法的な一般売買に対し、捜査当局が介入し破たんさせるに至ったのは、総連に対する政治弾圧の一環としてなされたと言わざるをえない。 また、緒方弁護士は一民放と行った記者会見(6月28日放映)で、さる6月8日から首相官邸は売買問題に激怒し、これを阻止するために首相官邸主導で事件化されたと非難した。 Q 総連への弾圧はなぜ不当なのか。 A 総連は結成以来一貫して、内政不干渉と日本の法律を順守する原則のもと、在日同胞に対する民族教育を実施し、同胞の生活を守り、権利を擁護するための活動を行ってきた。 総連のこのような活動と、在日朝鮮人が日本で生活するに至った歴史的経緯からみても、総連を「犯罪団体」視し弾圧する根拠はまったくない。総連に対する弾圧は、日本社会で在日朝鮮人に対する差別と排他意識をあおり、同胞の生活と権利を侵害するものである。 また、総連は朝・日間に国交がない状況下で、日本の政界、財界、言論界、文化、芸術、スポーツなどの各界各層の人士たちと朝鮮との親善交流を促進し、旅券・ビザ発給なども行っており、その数は数千、数万に達している。総連が外交代表部的な役割を果たしてきたことは、歴史的にも周知の事実であり、弾圧の対象となるいわれはない。 安倍政権による総連と在日朝鮮人に対する政治弾圧と差別は、人種と性別、言語と信仰に関係なくすべての人々の人権と根本的な自由を尊重することをうたった国連憲章第55条をはじめ、世界人権宣言など国際人権法規にも違反する悪質な人権蹂躙である。 Q 朝鮮はこの問題をどう見ているのか。 A 朝鮮は、総連と在日朝鮮人に対する弾圧、中央本部会館に対する強制執行などは、朝鮮に対する「理不尽な主権侵害に当たる」として、強く抗議している。朝鮮外務省スポークスマンは7月1日に声明を発表し、日本当局とRCCの不当な行為を強く非難した。 また、朴吉淵国連大使は7月5日、総連中央本部の強制競売問題について、日本政府による「理不尽な国家主権の侵害だ」と非難する文書を潘基文事務総長と総会議長あてに提出し、この問題を国連総会の議題として取り上げることを要求した。 これらは、総連中央会館に対する不当な措置が、朝・日間の重大な外交問題になっていることを示している。 Q 総連では今後どのように対応するのか。 A 総連は11日に行われた日本当局に抗議する在日本朝鮮人中央大会を機に、総連と在日同胞の意思を結集し、日本当局とRCCの不当な行為に反対し、総連中央会館を守るたたかいを強く推し進めていく。 また首相官邸に対する要請行動とともにRCCの強制執行に抗議し、RCCが公正な立場で和解交渉にただちに応じるよう強く働きかけていく。 さらに、広く日本の国民に協力を訴えるとともに、ニューヨークの国連本部とジュネーブの人権理事会に代表を派遣し、国際世論にも訴えていく。(李松鶴記者) [朝鮮新報 2007.7.20] |