同胞女性の「薬事法違反の教唆」容疑 不起訴に、東京地検 「総連の組織的関与認められない」
証明された、「根拠なき不当な捜索」
センセーショナルに行われた「薬事法違反」に関する強制捜索はなんら根拠のないものだった(昨年11月27日、総連東京本部) 「薬事法違反の教唆」容疑で警視庁による強制捜査(昨年11月27日)を受け、6月5日付けで東京地方検察庁に書類送検されていた朴順粉さん(東京都世田谷区在住、75)が、6月20日付けで不起訴処分になった。朴さんに薬を提供した医師も同じく不起訴処分になった。
警視庁公安外事課が270人を動員し、朴さんの自宅のみならず、総連東京本部を含む6カ所を強制捜査したこの「事件」。当時、日本のマスコミは「点滴薬は生物兵器に転用可能」「『北朝鮮』核開発と関連?」といたずらに報道していた。
不起訴処分を受け4日、東京地裁(司法記者クラブ)で記者会見が開かれた。朴さんと共に、古川健三弁護士、金舜植弁護士、総連東京都本部・金東石副委員長が会見に臨み、名誉回復を求めた。朴さんは過去に4度の大手術を受けている。健康状態の悪化から会見は延期されていた。
朴さんは「医者は、好意で栄養剤(モリアミンS)と肝炎の薬(ミノファーゲンC)を譲ってくれただけ。真実はたったそれだけ」と述べた。また、あたかも「北のスパイ」のように扱われることで、「烏山から出て行け」「殺してやる」といやがらせを受け、家族までも大変つらい思いをしたとコメント。会見を終えた後は、「一人の人間を犯罪者扱いすることがこんなにもたやすく行われようとは考えもしなかった」と話した。
代理人の古川弁護士は「そもそも『薬事法違反(無許可販売)』の教唆犯は成立しない」と強調し、その理由について、薬事法は販売者を罰していること、今回の場合、業務性が認められないこと、朴さんに違法性の認識がなかったことを挙げた。
古川弁護士は、「業務性」(「業として」)とは「反復継続して不特定多数の人に供給する目的をもって販売製造すること」と解されていることから、自らの健康状態と日本当局による「制裁」によって渡航が著しく困難な状態にある朴さんに、反復継続性は認めがたく、栄養補助剤などはもっぱら朴さんが使用するものであり、家族の範囲を超えて不特定多数に供給されるものではなかったと説明した。
金東石副委員長は、総連が朴さんは無実であり、強制捜査はなんら根拠のない不当な捜査であることを一貫して主張してきたことに言及、今回不起訴処分になったことでその正当性が証明されたと述べた。
そのうえで、同胞の自宅と本部などに対する捜索は「総連=『犯罪者集団』」というイメージを社会に植え付けるための国策捜査であったと言わざるをえないと強調した。
東京地検は、朴さんの行動に、利益や横流しの目的はなく、総連の組織的関与も認められないと認定している。(鄭尚丘記者)
[朝鮮新報 2007.7.9]