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総連中央本部会館問題 歴史的経緯ふまえた政治解決を 横掘正一

 朝鮮総連中央本部会館をめぐる「移転登記」事件なるものは、安倍政権がその対朝鮮敵視政策と朝鮮総連解体の攻撃的意図を露骨に表明したものであり、これまで執ように展開してきた朝鮮総連とその傘下団体、民族学校、在日朝鮮人個人などに対する多様な政治弾圧が、中央本部会館の解体攻撃にまで高まったことを示している。

 東京地検特捜部は、当初、朝鮮総連が差し押さえを逃れるために所有権を移したとして、強制執行妨害罪の適用を検討したが、移転登記自体は強制執行妨害や虚偽登記にはあたらないと判断し、立件を諦めた。

 しかしこの時点ですでに、「仮装売買」疑惑を徹底的にキャンペーンすることで、朝鮮総連に対する組織攻撃の意図を貫徹した。

 6月28日、緒方元公安調査庁長官が逮捕された。金を払わないまま所有権を移転したのは詐欺行為だというわけである。

 だが、これは本筋ではない。

 「身内の不始末」を徹底的に追及するポーズを取りながら、整理回収機構(RCC)に圧力をかけ、総連中央本部会館の競売を強行し、その解体を進めようとするのが真の狙いである。

 知人の弁護士は次のように指摘する。「味方になってくれるものに不動産を買ってもらい、債権者の承認を得て、買い手との間で賃貸借契約をして使用を続け、後日に買い戻すという方策は通常の方法であり、とくに問題となることではない。ただ問題は、依頼者が朝鮮総連であったということだ」。

 朝鮮総連中央本部会館は、よく指摘されるように、大使館に相当する。在日朝鮮人の民族的諸権利擁護の中心でもある。この解体を企図する攻撃は、日朝関係の正常化を損なう暴挙であり、南北朝鮮の自主的平和統一を目指す動きにも敵対する行為である。

 近現代における日朝関係史、とりわけ朝鮮侵略と植民地支配、強制連行、「従軍慰安婦」、そして虐殺された数え切れない無辜の朝鮮の民衆。在日朝鮮人という存在が形成された歴史的経緯をふまえるならば、朝鮮総連中央本部会館の問題は、まさに政治的に解決すべき問題であり、日本の金融機関を救済したのと同等の公平な解決がはかられるべきである。

 政府はRCCに対し、話し合いによる解決を指導すべきである。そして、解決の基調は日朝ピョンヤン宣言でもうたったように、日朝関係の正常化、過去の清算に結びつくものでなければならない。

 そのためにも安倍政権は、国際的にも孤立を深めている日本の対朝鮮敵視政策、在日朝鮮人弾圧、民族排外主義を即刻改めるべきである。(日本朝鮮学術教育交流協会事務局長) 

[朝鮮新報 2007.7.6]