〈投稿〉 「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊」 訴訟控訴審判決を見守りながら |
運動高揚の根拠に
「控訴を棄却する」 5月31日午前10時25分、名古屋高等裁判所ではこの言葉と同時に、ハルモニたちの目から涙がこぼれた。 「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊」訴訟の控訴審判決が下されたのだ。 今回の裁判では、強制連行と強制労働について認め、原告のハルモニたちが労働中に負ったケガに関しても、ここに責任があることを認めた。 強制連行と強制労働が、国家の監視下で行われたことを認め、日本国と三菱が原告たちの被害責任を負うべきであることも認めた。
「女子勤労挺身隊」被害者が従軍「慰安婦」と誤解された同一視被害に対しても認めた。 しかし、結論は被告側が「日韓請求権」協定により、請求権が破棄されていると主張する以上、賠償を命令できないとし、控訴は棄却された。 今回の判決は結果的には不当判決だといえるが、国家と三菱に対して謝罪と賠償を要求する運動を高揚させる根拠となるものと言える。 私は今回の判決を受けるために、日本に来られた原告のハルモニたちと共に行動をしたのだが、その時一緒に行動した弁護団と、「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊」訴訟を支援する会のみなさんは、ほとんどが日本の人だった。 この人たちは、朝鮮語を知らない。 ハルモニたちの言葉も、通訳なしには理解できない。 しかし、この8年間、弁護団と支援する会のみなさんは、親兄弟の恨(ハン)を解くかのように、この訴訟に勝利するために時間と労力を惜しまなかった。 ハルモニたちの根を解くために、ビラを配り、東京まで出て抗議活動をし、国会議員たちに支援を求めるその姿は、朝・日間の過去を清算し、共に生きていこうという、私への熱いメッセージに思えた。 過去を知る大切さ 私は、自分が生きる地域で過去に起こった挺身隊問題について、また、挺身隊の存在について知らずに生きてきたことを後悔し、この問題を知らずに「日本が正しい歴史認識を持って、過去を清算しなければならない」と話してきた日々が、恥ずかしく思えた。 私よりも、過去清算のために運動している日本人がこんなにも多いのに、私は今まで何をしていたのだろうか。 本当に過去の清算をしようと思うなら、まず私がもっと歴史を知らなければならないし、日本の方々と共に、問題解決のための運動を繰り広げていかなければいけないということを、切実に感じた。 日本の人たちと、南朝鮮の人たちが、過去清算のために運動を繰り広げる中で、私たちはこのような過去の清算のための裁判が起きていることを、どれだけ知っているだろうか。 正しい歴史認識を持つことを願う私たちが、挺身隊と「慰安婦」を同一視してはいないか。 植民地時代に直接被害を受けた方たちはもう高齢で、残された時間は短い。私たちのハラボジ、ハルモニの根を解き、私たちが日本で朝鮮人として、立派に生きていくために、一日も早く私たちの手で、謝罪と賠償を得なければならない。 控訴審判決を見守りながら、一人でも多くの人が、過去をもっと知らなければならないし、謝罪と賠償を得るための運動に積極的に参加しなければならないと、強く感じ続けた。(金栄大、朝鮮大学校政治経済学部4年) [朝鮮新報 2007.6.25] |