総連の国賠請求訴訟、口頭弁論始まる |
総連弾圧の不当性、司法の場で明らかに 総連が3月30日に提訴した二つの国家賠償(国賠)請求訴訟が相次いで始まった。日本当局による総連と在日朝鮮人に対する弾圧の不当性と違法性が司法の場で問われる。 薬事法関連強制捜索訴訟 国賠訴訟の一つは、高齢の同胞女性が薬事法違反行為を「教唆」したなどと警察当局がでっち上げた「事件」をもって警視庁が総連関連施設を強制捜索した問題で、不当な捜索を受け物品を押収された総連東京都本部と総連渋世支部などが日本国と東京都に対し損害賠償を求めた訴訟だ。 4日、東京地方裁判所で行われた第1回口頭弁論では、朴昌吉総連東京都本部委員長が意見陳述した。朴委員長は、在日朝鮮人の歴史、総連と本部、支部の活動内容について言及し、強制捜索の不当性を訴えた。その上で、朝鮮に対する「圧力」の一環として警察当局とメディアを動員して総連への政治弾圧を敢行する日本政府当局の謀略的意図について指摘した。また、「薬事法違反事件」がそもそも何ら犯罪性がなく、総連が何ら関連もないことを「警察自体が百も承知だったのではないか」と指摘し、謝罪と賠償を求めた。 被告側は、裁判官から「反論」のための文書や証拠を速やかに提出するよう促されたが、「(警視庁の)捜査中につき資料をだせない」との口実を繰り返し、時間稼ぎともみられる応対で傍聴者らの失笑を買った。 警視庁が昨年11月27日、総連東京都本部、総連渋世支部などから不当に押収した物品はまだ返還されておらず、業務に多大な損害をきたしている。 次回の口頭弁論は7月23日に行われる。 日比谷公園使用許可取消訴訟 国賠訴訟のもう一つは、3月3日に行われた「3.1人民蜂起88周年、在日本朝鮮人中央大会」の会場となった東京都立日比谷公園大音楽堂の使用承認を後日、違法に取り消されたとして、総連中央が東京都と取り消しを指示した石原慎太郎都知事らに対し損害賠償を求めた訴訟。第1回口頭弁論が5月22日、東京地方裁判所で開かれた。 原告側は、最高裁の要件は「警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情がある場合」(最高裁第二小法廷平成8年3月15日判決)であり、都が事実関係の確認もなく使用許可を取り消したのは過失、故意があると訴え、「集会の自由、言論の自由に対する挑戦だ」と指摘。「暴力によって民主主義が屈してはならない」と強調し、右翼団体の「抗議」や「街宣活動」を口実に集会の阻止を図った都側の対応を厳しく批判した。 裁判を傍聴したある同胞は「集会の阻止を図った石原都知事の妨害行為は、右翼団体の脅しよりもっと深刻で危険だ」と述べた。 次回の口頭弁論は7月17日に行われる。 同胞、日本人、力合わせ 一連の訴訟と関連し、総連側の弁護士らは「このような事件が一度でも認められてしまえば、在日朝鮮人に対しては何をしてもいいことになってしまう。裁判を通じて日本政府と警察当局による政治弾圧の不法性を明確にし、二度と繰り返させないようにしなければならない」と指摘する。 4日に行われた裁判報告会(写真)で床井茂弁護士は「日本がどんな国になろうとしているのか。在日朝鮮人、日本人といった枠を越え、一緒にたたかわなければならない。われわれ一人ひとりに与えられた歴史的義務である」と強調した。 [朝鮮新報 2007.6.8] |