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大阪朝高「運動場明け渡し裁判」 第1回公判及び緊急集会

運動場には「夢と希望、汗と涙が染み込んでいる」

15日に行われた大阪朝高運動場明け渡しに関する第1回公判及び緊急集会

 大阪朝鮮高級学校(東大阪市)の運動場明け渡しに関する問題で15日、第1回公判及び緊急報告集会が行われた。

 創立55周年を迎える同校は1965年に現在の敷地を購入し、73年に同市内、玉串町から現在の菱江(町)に移転、先立ち71年の土地区画整備事業により翌72年に減歩に関わる覚書を市と交わした。覚書には「後刻決定される減歩は土地等で行うものとし、その方法については、学校という教育施設の有益性を考慮して、双方協議のうえ履行するものとする」と記されている。

 同校と市はその後、長年に渡って協議を重ねたが、市側が価格交渉の開きを理由に協議を打ち切り、同校に対し「土地の明け渡し等を求め」大阪地裁に提訴(1月31日)した。

 提訴の内容は@当該土地の明け渡し、ブロック塀、防球ネット等の撤去、A約7千8百万円等の支払い、B平成19年1月1日から土地の明け渡し完了日まで、月約47万円の支払い、C訴訟費用の負担である。明け渡しを求められているのは運動場の4分の1に相当する約600坪である。

緊急集会参加者ら

 公判後、アピオ大阪で行われた緊急報告集会には学校関係者、支援者ら120人余りが参加した。

 大阪朝鮮学園の申正学理事長は挨拶で、教育環境を悪化させ、「学習権」の侵害に当たる市側の要求は受け入れがたいと述べ、支援を要請した。

 経緯報告について同校玄完植教務主任が説明し(別項)、運動場の4分の1が奪われれば体育授業、サッカー、ラグビーなどのクラブ活動に支障が出ると訴え、我が校の運動場は「花園」が近いことからラグビーの強豪校同士が練習試合を行うような有用な地であると強調した。

 提訴の骨格から争点について、弁護団を代表して丹羽雅雄弁護士が説明した。

 丹羽弁護士は土地が小さくなっても価値が上がるというのは法の建て前であり、今回の整理事業は「学習権」に目をつぶって行われようとしていると指摘、もっとも公益にかかわる土地に対する考慮なく普通の都市計画として、市は推進しようとしていると述べた。

 また「人間尊重の街づくり」を目指す東大阪市が、未来を担う子どもたちの権利を奪おおうとはなにごとかと強調し、なぜ区画整理事務所からの業務移管先が教育局や人権を担当する部署でなく建設局なのかと追及した。最後に占有権、信義則、権利濫用の3点について触れ、裁判官にことの本質に目を向けさせなければいけないと話した。

 他の弁護士は、どうしてほぼ工場用地と同じ扱いなのか、これはいくらなんでもひどいと率直に語り、弁護団への協力を求めた。

 質疑応答では、有益性が無視されている、はらだたしいとの声が上がり関係者らを勇気付けた。

 続いて関係者がアピールを行った。

 ラグビー部主将である生徒代表は夢と希望、汗と涙が染み込んでいる運動場で、僕たちは大阪の一員として一生懸命がんばっている、堂々と生きていくために支援をお願いしますと述べた。

 父母代表は問題の出発は朝鮮学校に対する無関心、嫌悪にあるのではないか、異国の文化に触れ合うことが出来る朝高は同胞にとっても市民にとっても財産である、日本の良心を守るために闘っていこうと呼びかけた。

 支援者を代表し「日韓問題を考える東大阪市民の会」からは教育を保障すべき立場にいる市が提訴を行ったことに心から抗議する、学生の心情を行政はもっと考えなくてはいけない、地域社会に訴えていくと話した。

 同校康和正副校長は支援、友好の輪を広げ、権利擁護運動として積極的に進めていきたいと述べている。

 今後、「大阪朝鮮高級学校の運動場明け渡しに反対し裁判を支援する集会」が1000人規模で4月20日、クレオ大阪中央で行われる予定。(鄭尚丘記者)

[朝鮮新報 2007.3.20]