top_rogo.gif (16396 bytes)

NHK番組改変事件 東京でシンポ 「政治家の圧力で改変」を認定

バウネット、高裁で勝訴勝ち取る 

 「NHK番組改変事件−高裁判決勝訴・判決シンポジウム−判決は何を明らかにしたか」が2月25日、東京・四ッ谷の主婦会館プラザエフで開かれ、約150人の聴衆が参加した。NHK番組改変事件とは、6年前に放送された日本軍の性奴隷制を裁く民衆法廷、「女性国際戦犯法廷」を取り上げた番組が「事前説明と異なる内容に番組が変更された」として、同法廷を中心になって開催し、番組の取材に協力したVAWW−NETTジャパン(バウネット)が、NHKなどに損害賠償を求めていた事件だ。

NHKに賠償金200万円

約150人の聴衆が参加したシンポ

 1月29日の東京高裁判決は、一審判決で不問にされたNHKの改変行為を「編集権を自ら放棄したものに等しい」「NHKの本件番組の制作、放送については、憲法で保障された編集の権限を濫用し、または逸脱したものといわざるをえず、放送事業者に保障された放送番組編集の自由の範囲内のものであると主張することはできない」と認定した。

 さらに判決は、NHKが政治家の「発言を必要以上に重く受け止め、その意図を忖度し、…番組を改変した」事実を認定。そのうえで、NHK側に対し、バウネットへ賠償金200万円を支払うよう命じた画期的な内容だった。

 この日のシンポではまず、同裁判の原告である東海林路得子・バウネット共同代表(「女性国際戦犯法廷」国際実行委委員)が「勝訴を勝ち取り本当にうれしい。約6年もの間、闘いを支えてくれたみなさんと勝訴の喜びを分かちあえてうれしい」と語った。

 そして同氏は、01年2月、「女性国際戦犯法廷」国際実行委が「右翼勢力の圧力下の『女性国際戦犯法廷』番組改ざんに対して」NHKにあてた次のような抗議声明をあらためて紹介した。

東海林路得子さん

 @日本軍性奴隷制を裁く「女性国際戦犯法廷」というフルネームさえ一度も使わず、主催者や参加者など「法廷」についての基本的事実も伝えず、他方で「法廷」に対する批判的発言や「法廷」に関連のないことに時間を費やし、日本軍性奴隷制が、この番組のテーマである人道に対する罪としての戦時性暴力であることを意図的に隠ぺいした。

 A番組は「法廷」を紹介しながら、肝心の「人道に対する罪で昭和天皇裕仁有罪、日本国家の責任」という判決にいっさい触れず、番組が意図したアジアと日本の和解を妨げる結果になっている。

 B被害女性の証言に裏づけがない、と信憑性を疑い、しかも、「慰安婦」は被害国の売春業者に売られて商行為を行っていたという暴言を一方的に流しており、日本軍性奴隷制の被害女性すべての名誉と尊厳を再度踏み躙って、名誉毀損を犯している。

 C公平であるべき番組司会者までが批判的解説をしている。これは、人道に対する罪や戦争犯罪を審判する権利は市民にあるとしてこの「法廷」を主催し、参加した世界各国のすべての人々、そして、「法廷」を支えた国際市民社会に対する侮辱である。

 D日本社会に強まる右翼勢力の妨害の中で、NHKが、放映直前にいたるまで番組を大幅に改ざんし、報道自主規制をしたことは、言論、報道の自由を守る公共放送の責任を放棄し、基本的人権である知る権利を奪うものである。それは、言論弾圧の下で、強行された軍国主義復活につながり、再び、日本が戦争犯罪と人権に対する罪を犯す事態を招くことが憂慮される。

 さらに同氏は、判決を不服として即刻上告したNHKの態度を批判しながら、「いかに今回の事件について反省していないか、いまだ政治家の顔色を窺っていることを示すもの」と指摘。NHKが真摯に判決に向き合い、上告を取り下げ、その過ちを猛省し、バウネットはじめ視聴者、市民に心から謝罪するよう強く求めた。(朴日粉記者)

[朝鮮新報 2007.3.5]