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〈07年受験資格問題 -下-〉 今こそいっそう高く声を上げるべき

 昨年12月、日本政府は1979年に批准した「市民的、政治的権利に関する国際規約」(「自由権規約」「B規約」などと表現されることもある)に鑑み、政府として自国内に居住するあらゆる市民の人権保障とその促進のためいかなる施策を講じてきたのかを報告する締約国定期報告書を、国連の規約人権委員会に提出した。日本による政府報告書は第5回目となり、前回の審議は1998年に行われた。

 提出期限を大幅に超過し提出された今回の報告書には「在日韓国、朝鮮人」の問題に関し言及した章があるが、そのなかでとくに「朝鮮学校」と冠した項を設けており、03年のいわゆる「弾力化」措置に関して記述している。

 在日外国人の民族教育権、とりわけ朝鮮学校とその生徒たちの権利に関してはこれまで、国連人権委員会や同小委員会、日本政府が批准した各種条約委員会などで再三取り上げられてきた。

 なかでも「朝鮮出身の児童の高等教育施設への不平等なアクセス」(第1回子どもの権利委員会日本政府締約国報告書審議後の総括所見、1998年6月5日)に関しては、規約人権委員会(98年10月)、人種差別撤廃委員会(01年3月)、社会権規約委員会(01年8月)においてそれぞれ委員会がとくに重要な懸念事項であるとして、その是正を求め勧告してきた問題である。

 特筆すべきは、2004年1月に行われた第2回子どもの権利委員会日本政府報告書審議後に発表された対日総括所見(CRC/C15/Add.231)である。このなかで委員会は、主たる懸念事項として「日本にある外国人学校を卒業して大学進学を希望する者の資格基準が拡大されたとはいえ、依然として高等教育へのアクセスを否定されている者が存在すること」を挙げながら、審議前年の03年に行われた文科省による「弾力化措置」は不十分であると指摘している。そのうえで、「マイノリティ・グループの子どもが自己の文化を享受し、自己の宗教を表明しまたは実践し、かつ自己の言語を使用する機会を拡大すること」を勧告しているのである。

 これは、自らの民族の言語、歴史、文化を継承するための教育を受ける権利は、決して侵害されてはならないというのが国際社会における共通の認識となっていくなかで、植民地統治時代、民族性を奪われた朝鮮人が、いまもなお差別を受け続けていることが懸念され、その是正が勧告されたものと言えよう。

 このような国際社会からの批判を真摯に受け止めることなく、日本政府が政府としての責務を果たさずにその態度を曖昧にした結果が、今回起こった玉川大学の問題の発端である。

 前述した規約人権委員会に対する政府報告書では03年の「弾力化」措置につき、政府として善処したこととして高らかに報告しているのであろうが、その不誠実さが朝鮮学校に通う子どもたちの夢と希望を打ち砕いてきた。これ以上そのような横暴は許されないし、決して許してはならない。

 玉川大学の問題を新たなる契機とし、諸悪の根源である文部科学省に朝鮮学校の権利保障、民族教育権の促進を求めてより高く声を上げていきたい。(宋恵淑、在日本朝鮮人人権協会)

[朝鮮新報 2007.2.26]