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警察当局による在日朝鮮人への政治的弾圧を断固糾弾する 京都ヒューマンネット声明文

 昨年7月に行われた朝鮮民主主義人民共和国(以下共和国)によるミサイル発射訓練、そして10月に行われた地下核実験に際し、日本政府は共和国に対して直ちに「制裁措置」を発動しました。

 結果、ミサイル発射訓練や核実験とは何の関係も無い、在日朝鮮人の生活と人権に深刻な影響が出ております。

 とりわけ在日朝鮮人と共和国を結ぶ唯一の人道的船である「万景峰92」号の入港禁止措置により、肉親との再会を切に望む高齢者をはじめとした多くの在日朝鮮人や、飛行機で行くには困難な障がい者たちは自分の祖国に行くという初歩的な権利すら著しく侵害されているという状況にありますし、民族学校の生徒たちは修学旅行に行くことすら困難になっております。

 また、日本政府による「制裁措置」が発動された昨年7月以降、多くの朝鮮総連職員や在日朝鮮人が不当に逮捕された。朝鮮総連関連施設や在日朝鮮人宅に対する強制捜査は昼夜、曜日を問わず行われ、そこに動員された警察官や機動隊員は2000人を超えると言われています。

 とくに、今年1月28日に行われた「電磁的公正証書原本不実記載」などという極めて軽微な罪にも関わらず、ましてやそれとは何ら関係の無い学校に武装警官まで動員した滋賀朝鮮初級学校に対する強制捜査は、法の名を借りた前代未聞の悪業と断罪せざるをえず、心に深い傷を負った朝鮮学校児童たちは今でも恐怖に身を震わせております。

 警察庁の漆間巌長官は1月18日の記者会見で「拉致被害者の帰国に向け、北朝鮮に日朝間の話し合いをさせるのが警察の仕事」とし、「そのためには北朝鮮の資金源について『ここまでやられるのか』と相手が思うように事件化して、実態を明らかにするのが有効」と指摘しました。

 この発言からも見られるように、昨今行われている朝鮮総連や在日朝鮮人に対する不当な弾圧は、捜査容疑とは別の不純な政治的意図を持って行われていることは明白であります。

 国家権力による在日朝鮮人への「暴力」に対し、共和国はもちろん、韓国内でも「魔女狩り」、「民族の尊厳に対する挑戦」等と非難の声は日に日に高まっています。

 今年2月に行われた第5回6者会談では、東アジアの非核化への第一歩となる全朝鮮半島の非核化のための方途的問題が話し合われ、各国は重油100万トンに相当する経済、エネルギー支援を提供することになり、朝米間は懸案問題を解決し完全な外交関係の樹立に向けた話し合いを持っていくこと等が合意されました。

 そんな中、唯一日本だけは未だに「拉致問題の解決なしには経済支援はない」と、朝鮮半島の非核化とは全く関係の無い問題を持ち出し、朝米関係が好転していく中で自分たちの存在感を何とか誇示しようと、その矛先を自分たちの手が及ぶ範囲である在日朝鮮人に向けています。

 現在、日本に居住する在日朝鮮人は、朝鮮半島に対する日本の植民地支配により、日本に居住せざるを得なくなった直接被害者とその子孫がほとんどです。

 そのような歴史的経緯から考えたとき、本来守られるべき在日朝鮮人の人権と生活は、政治的利害関係の下、公権力によって暴力的に踏みにじられ、日本で民族心を育む唯一の場である民族学校に通う児童、生徒たちは恐怖に苛まれている状況は異常であるとしか言い様がありません。

 私たちの結成以来の運動方針である、朝鮮半島の自主的平和統一、日朝国交正常化の早期実現、在日朝鮮人の民族的諸権利と生活の擁護という観点から、このような事態は決して看過できる問題ではありません。

 従って私たちは日本政府と警察当局に対し、

 一、 二度と在日朝鮮人に対して公権力を乱用した不当な弾圧を行わないこと
 二、 在日朝鮮人へのあらゆる制度的差別を撤廃し、法的地位を保障すること
 三、 ピョンヤン宣言の基本精神に則り、日朝国交正常化へむけて真摯に取り組むこと
 を強く要望いたします。

2007年2月22日

「東アジアの平和と朝鮮半島の自主的平和統一をめざす京都ヒューマンネット」(略称「にっこりネット」)

 ※「東アジアの平和と朝鮮半島の自主的平和統一をめざす京都ヒューマンネット」は、2005年4月に結成された組織で、朝青、韓青、アジア共同行動を始めとする、約20の団体で構成されている。

[朝鮮新報 2007.2.26]