〈07年受験資格問題 -中-〉 朝鮮学校に一条校と同等の地位を |
朝鮮学校に対する日本政府による冷遇策は、助成金をはじめとしていまだに残されているが、なかでも大学受験資格問題はその卒業生たちの進学の機会、将来の可能性を阻むものとして長年懸念され、その是正を求めさまざまな運動が繰り広げられてきた問題であった。とはいえ公立、私立の大学の多くは、学校教育法施行規則69条6号の大学受験資格認定条項を活用し、大学独自の判断で朝鮮高級学校卒業生に入学資格を認めてきており、国立大学だけが忠実に文部科学省の方針に追従し、「大検」合格を出願の条件としてきたのである。 2003年9月、文部科学省は大学入学(受験)資格問題に関する省令等を改定、それ以降、朝鮮学校の卒業(見込み)生について大学の自主的判断で入学(受験)資格を認めることは問題ないとしており、省令等改定後、ほぼ全ての国立大学が受験を認めることになり、実際に朝鮮高級学校卒業生のなかから京都大学や東京大学をはじめとする国立大学合格者が続出していることは本紙でも既報の通りである。 しかし、そのような喜ばしい事実があるからといって、大学受験資格問題が全面解決したわけではない。今も朝高卒業生は各大学の「個別審査」を受けることを余儀なくされ、一般の受験生が提出する願書とは別に個別審査に必要な書類の数々の提出を求められている。その煩雑さは受験を控えた学生にとっては相当な負担となるものである。 さらに、各大学の個別審査に委ねたことにより、このたびの玉川大学のように個別審査すら受け付けないとする大学の出現を許してしまった。このような点で2003年9月の省令改定は多くの問題を残したものであり、決してこれまでの朝鮮学校への差別政策への真摯な反省に基づいた「改正」ではなかった。 日本政府は在日朝鮮人の子どもたちの日本学校への就学を積極的に奨励し、朝鮮学校を各種学校としてすら認めないとする1965年に出された2つの文部事務次官通達のまさに時代錯誤的な考えを改めなければならない。 朝高生の日本の大学への合格実績、また日本社会のさまざまな分野で朝高卒業生らが活躍し、それによって日本社会の国際化、多様化にも貢献していることに鑑み、日本政府は差別政策を是正し、朝鮮学校を正規の学校として学校教育法の定める正規の学校と同等の地位を与えるよう法制度を改正すべきである。それは、国際社会からも求められていることでもある。(宋恵淑、在日本朝鮮人人権協会) [朝鮮新報 2007.2.19] |