滋賀初級で緊急糾弾集会 大阪府警の不当な強制捜索 学父母、日本市民ら400余人が参加 |
「子どもの笑顔を守ろう!」 既報のように、大阪府警は1月28日、「電磁的公正証書原本不実記載 同供用」という口実のもと、滋賀朝鮮初級学校、総連大津支部をはじめとする5カ所を強制捜索した。昨年12月5日と今年1月10日に兵庫県商工会に対して行われた強制捜索の不当性を糾弾する声が高まるなか、子どもたちが学ぶ教育現場にまで土足で踏み入った警察当局に対し、同胞たちの怒りは頂点に達している。1月31日には同校で緊急集会が開かれたほか、30日には滋賀県庁で記者会見が行われ政治的意図が明白な今回の強制捜索の不当性を厳しく非難した。また、1日には同校の父母代表と大阪の同胞らが大阪府警に申し入れ書を提出した。 「子どもの胸に深い傷跡」
緊急集会の会場となった同校の講堂は、滋賀県の同胞と同校の卒業生、京都や兵庫をはじめとする近畿地方の他府県から駆けつけた同胞、日本市民ら400余人でいっぱいとなった。 「今でもあの時のことを思い出すと怒りで体が震え、涙が止まらない。当日のニュースを見た私の子どもは、私が家に帰ると『アッパとオンマが警察に捕まったと思った』と泣きながら抱きついてきた。今日の集会に来るときも『もう警察来ない? 大丈夫?』と心配そうに聞いてきた。朝鮮学校の子どもたちには、人権もないのか」 糾弾集会で発言したオモニ会の梁京玉会長はこのように述べながら、今回の強制捜索を通じ、警察当局が朝鮮学校をつぶそうとしていること、子どもたちの権利を奪おうとしていることがはっきりしたと強調した。
同校で教鞭をとる金永柱さんは、「園児や生徒が日頃学び、遊んでいる場所に警察が押し入ったということは決して許せることではない。民族教育全体に対する挑戦だ」と非難。強制捜索後、「絶対に許せない」「とても腹が立った」と気丈に振舞う子どもたちだが、彼らの胸の奥底には深い傷跡が残ったと述べながら、現場に立つ教師として最後まで学校と子どもたちを守っていくと決意を語った。 連帯のあいさつをした女性同盟兵庫県本部の゙貞順委員長は、「このような警察の暴挙は滋賀だけに限ったことではない。私たちのたたかいは主張することだ。主張するには多くの人がいなければならない。同胞はもちろん、日本の人とも手を取り合って権力の横暴とたたかっていこう」と訴えた。 集会では、滋賀県教職員組合の大谷和雄委員長と朝鮮学校を支える京滋の江原護代表も連帯のあいさつを行い、「同じ教育現場で働く者として憤りを覚える。この強制捜索は朝鮮学校、組織に対する弾圧以外のなにものでもない」(大谷委員長)、「ここに集まったみなさんからもらった熱気を胸に、最後までたたかっていこう」(江原代表)とエールを送った。 尹日和校長は、「多くの卒業生や日本の人から送られてくる激励の手紙やメールに力を与えられている。この強制捜索は、民族教育はもちろんすべての教育に対する挑戦。多くの父母や同胞、日本の人たちと力を合わせて学校を、子どもの笑顔を守っていく」と力強く語った。 集会では、総連組織と民族教育、在日同胞に対する政治弾圧と人権侵害を即時中止することと大阪府警の謝罪、押収した資料の返還などを求めた抗議文を満場一致で可決した。 大阪府警に抗議文 翌1日には、滋賀の父母代表と大阪の同胞、朝鮮学校を支援する市民団体の代表ら300余人が大阪府警に対する抗議行動を行った。 大阪の同胞らの温かい拍手に迎えられ集合場所に到着した滋賀の父母らは、目に涙を浮かべながら感謝の意を表した。 「民族教育を守ろう」「子どもの笑顔を守ろう」などと書かれたプラカードや横断幕を手に大阪府警本部を目指す同胞らに対し、府警の警官らは「これはデモ形態になる。プラカードを掲げてはならない」「隊列を組まずバラバラになるように」などと規制した。 府警前に到着した同胞らは、抗議文を持った3人の代表を見送った後、「大阪府警は謝罪しろ!」「民族教育に対する政治的弾圧をやめろ!」などとシュプレヒコールをあげながら、強制捜索を非難した。 「室長に力と勇気を」 兵庫 引き続き緊急集会と抗議行動 「兵庫県警の不当捜索に抗議する緊急集会」が1月29日、兵庫県警前で行われた。 集会には、兵庫在住の同胞と大阪、京都をはじめとする近畿地方の同胞、活動家ら約400人が参加した。 集会では、兵庫県商工会の金英俊理事長があいさつ。各地の同胞の抗議電話や葉書は県警当局に大きな打撃を与えていると述べながら、県警当局が県商工会の会員たちに脱会するよう圧力を加えていることに触れ、このような策動は決して許されないものだと強調した。 そして、勝利を勝ち取るまでたたかいぬくことで県警本部内に拘留されている金滝夫室長に力と勇気を与えようと訴えた。 参加者らは、プラカードや横断幕を手に県警本部周辺をデモ行進しながら、金滝夫室長に届けとばかりに大きな声でシュプレヒコールをあげた。 この日、集会に参加した金滝夫室長の母・朝井鈴子さん(69)は、「初めて集会に参加して、こんなに多くの人たちが息子のために来てくれたことを知りとてもうれしい。私たち夫婦の力だけではどうしようもないので、本当によろしく頼みます」と声を詰まらせた。(李松鶴記者) [朝鮮新報 2007.2.2] |