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日本は「豊か」になったの?

 先日、平壌から帰ってきた知人が土産話を聞かせてくれた。

 果てしなく続くかと思われた松茸の話に一息ついた彼は、にわかに「アトピー性皮膚炎って知ってるか」と話題を変えた。「新潟を発つ数週間前に再発したんだ。おまけに薬を荷物に入れ忘れて。ちょっと難儀した」と言って、肘の内側の赤いブツブツをポリポリと掻いた。

 「あっちにもあると思ってね」

 滞在中、医師に代用薬の処方を頼んだ。「日本では何と診断されたのか?」と聞かれた。「アトピー性皮膚炎です。卵と牛乳にアレルギー反応が出て…」と答えると、医師はゆっくりと首を左右に振った。

 「…朝鮮では、食品にアレルギー反応を起こす患者は無に等しく、過去にも症例はほとんど見当たらない。効く薬があるかどうか…」

 あれこれ試したが、どれもダメ。これならば…と漢方薬まで煎じてもらったが、ブツブツは治まらなかった。

 「日常の食生活を考え直してみなさい。有害なものを口にしていないか…」

 平成17年11月時点で日本の食品添加物総数は約1500品目。その全てが体に悪いというわけではない。しかし、包装フィルムの原材料名に長々と羅列されている保存料、着色料、香料、酸化防止剤といった面々を見るとさすがに…。

 「まるで薬漬けだ。日本は『豊か』になったと思うか? あっちの食卓は質素だけど、健康的でおいしかったよ…」

 そう言いつつ、彼はポリポリと赤いブツブツを掻いた。(健)

[朝鮮新報 2007.11.26]