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〈「在日朝鮮人歴史・人権週間」全国集会〉 山口・宇部

国際的観点からの改善を

 2007「在日朝鮮人歴史・人権週間」(歴史・人権週間)全国集会が3日、山口・宇部全日空ホテルで行われた。実行委員会共同代表である総連中央の高徳羽副議長兼権利福祉委員会委員長、清水澄子・朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表、原田章弘・朝鮮人強制連行真相調査団日本人側共同代表をはじめとする関係者と山口県地域振興部国際課の橋口総司課長、山口の同胞と日本市民ら約170人が参加した。集会では、「歴史・人権週間」のテーマに沿って3人が報告し、アピールが採択された。

3つのテーマ

集会には約170人が参加した

 今年の「歴史・人権週間」は、1905年条約(乙巳五条約)と強制連行犠牲者の遺骨問題、日本も批准している人種差別撤廃条約から見た在日朝鮮人に対する日本政府の抑圧政策の問題点の3つをテーマとしている。

 集会では、朝青山口県本部のメンバーらが出演したオープニングセレモニーに続き、地元実行委員会の山口武信代表と高徳羽副議長があいさつした。

 高徳羽副議長は、日本当局は過去の負の歴史を無視したまま、在日朝鮮人への差別と弾圧を繰り返しており、これを是正させるためにも国際的視野から在日朝鮮人の人権を考えていかなければならないと強調した。

 集会では、「長生炭鉱水非常を心に刻む会」の島敞史・山口大学名誉教授、洪祥進・朝鮮人強制連行真相調査団朝鮮人側事務局長、前田朗・東京造形大学教授らが報告を行った。

 島氏は、長生炭鉱で1942年2月に発生した「水非常」(坑道での水没事故)により、130人ともいわれる強制連行された朝鮮人が犠牲になったことに触れながら、「刻む会」の活動、目的について語った。

 洪祥進事務局長は、在日朝鮮人の発生原因と歴史を紐解きながら、北南朝鮮と日本との歴史認識の溝を生めることの重要性を訴えた。

 そのうえで、ドイツでは第2次世界大戦当時の犠牲者の遺骨が発掘され次第、記念碑などを建立し過去に対する真しな反省を表すことで、ヨーロッパで一定の地位を築くことができたと述べながら、日本はまったく正反対の対応をしていると非難した。

 前田教授は、朝鮮の人工衛星打ち上げから始まり、ミサイル発射や核実験など、日本では相対化できない傾向が極端だと述べながら、これまで朝鮮関係について沈黙していたNGOなどの活動家たちが、日本の現状の異常さについて発言しだしたことは明るい兆候だと指摘した。

 集会では続いて、タラワ島に徴兵された父を亡くした兵庫県商工会の金承鎬会長が証言を行った。

 金会長は、「日本の制裁により、朝鮮にいる母ともう2年も会ってない。いじめた側はすぐに忘れるが、いじめられた側は謝罪されるまで絶対に忘れない。両親を含め一族の恨みを晴らすまでは、子や孫に歴史を伝えていく」と語った。

 清水澄子氏は、いわゆる「在日朝鮮人問題」が実は日本の問題という認識を持つことが重要だとしながら、「強制は犯罪」という国際常識に沿って歴史を振り返りこの運動を再構築しなければならないと強調した。

追悼集会も

 全国集会に先立ち、長生炭鉱近くの集会所で追悼集会が行われた。

 総連中央の高徳羽副議長兼権利福祉委員会委員長、総連山口県本部の金讃福委員長、山口県朝鮮人強制連行真相調査団の許鳳兆・朝鮮人側団長と民団役員ら約130人が参加した。

 集会後は、長生炭鉱に関するフィールドワークが行われた他、ピーヤに向かって献花も行われた。

 一方、4日には全国実行委員会が行われ、今回の集会を開くまでの経緯と経験が紹介され、来年の「歴史・人権週間」のテーマと全国集会開催地などが議論された。(李松鶴記者)

[朝鮮新報 2007.11.9]