川口コリアン・ウィーク 総連埼玉南部支部が参加し3年目 |
ゆっくり築かれるネットワーク 「川口コリアン・ウィーク2007」(主催=同実行委員会、協力=日韓年賀はがき展世話人会、川口銀座商店街振興組合、民団川口支部、総連南部支部)が2月14〜19の6日間、樹モールの燦ギャラリー(埼玉県川口市、川口銀座商店街)で行われた。期間中、「第10回日韓ユーモア漫画家年賀状交流展」(作品はhttp://www.tashiro3.com/manganenga/にて公開中)をメインに埼玉朝鮮初中級学校の教員、声楽部生徒らによる民族楽器の演奏と合唱「コリアン民族音楽ミニコンサート」をはじめ、「トック無料試食サービス」「コリアな正月遊び(ユンノリ、朝鮮将棋)体験」、パネルトーク「日本の文化・コリアの文化」などが多彩に催され道行く市民らの関心を誘った。 文化、生活がテーマ
「おとなりさんの国の人と文化をもっと知ろう」という趣旨を帯びる同イベントは、在日コリアンが多く居住する川口で朝鮮の文化を紹介、これからの共生のあり方を地域で模索し、日本と朝鮮半島のさらなる友好に寄与しようと2005年から毎年開催されてきた。 18日、田代しんたろう実行委員会委員長(漫画家、司会)、総連南部支部の申銀三委員長と李成子さん(15年前から日本に住む南のニューカマー)らによるパネルトークが行われた。 パネルトークのテーマは、旧暦、正月行事、宗教や道徳など朝・日の文化、日常生活の紹介など。この日も道行くさまざまな市民らが足を止め、耳を傾けていた。 例えば、「日本で『松竹梅』『紅白』などがめでたいものとして慶事に使われる」(田代さん)が、朝鮮半島では「不老長寿に良いとされる松を大事にしており、昔の王族は黄色を好んでまとっていた。その風潮はまだあるようだ」(申委員長)、「黄色、金色を好むが、最近では白を好む国民が多い」(李さん)などとテンポよく続き、「われわれは古来、白を好む白衣民族。在日1世は白のチマ・チョゴリを着た。朝鮮学校の夏の制服も白いチョゴリ」(申委員長)。 「朝鮮では、結婚する際に相手の干支が何なのかを重要視したりする。その次に財産」と申委員長が会場をわかせると、「まったくそう。昔は午年の女性は好ましくないと言われました…。子どもがよく生まれる年とされる豚年(日本では亥年)は好ましい」と李さん。 そして、田代さんが朝鮮における「福」について質問。一時期、流行した「福姫」という名前、朝鮮の枕脇に描かれる「福」の言葉などが紹介された。 「それぞれに文化」 「しかし年齢を気にしますよね」と田代さん。これには「平壌でもソウルでも目上の人の前では横を向いて酒を飲むしタバコは吸わない」と申委員長が紹介。「とても礼儀正しいんですよ」と田代さんが実体験を語った。 田代さんは3年前に平壌で「화장실 어디예요?(化粧室はどこですか?)」と聞いたところ通じなかったという。「平壌では위생실(衛生室)と言うらしい。北と南で表現が違う」。パネラーは「동무」「친구」など、北南の分断がもたらした「言葉の悲劇」に言及。北南の学者らが共通の言葉を作ろうとしている試みが紹介された。 また、「戦前、朝鮮半島から川口に徴用され市の復旧に尽力した1世同胞に端を発し、その後世である在日コリアンが川口には今日も多く暮らしている。これからもみなさんとともに力を合わせ地域発展に尽力したい」(申委員長)、「一朝一夕には成就しないが互い(日朝市民)に肯定的な関係を維持していきたい」(田代さん)、「在日が昔の風習を守り祭祀などを行っていることに正直驚いた」(李さん)と話していた。 観覧者らは「在日の友だちがいる。それぞれの文化がある。映画、ニュースなどで情勢に左右されるのはおかしい」(トークショー前に「リムジン河」を歌ったバンド「西游記」の島田正友さん=26)、「ここがごく日常的な場。『在日の人たちがなにかやっている』ぐらいの感覚でネットワークがゆっくりと築かれている」(溝渕幸一さん=48=川口銀座商店街振興組合事務局、実行委員)などと話していた。(李東浩記者) [朝鮮新報 2007.3.5] |