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稀有な存在

 先日、訪日した南朝鮮民主労働党代表団に随行して、東京中高を訪れた。

 学校に興味津々の代表団メンバーが印象的だった。

 2児の母でもある金恩辰最高委員は、生徒との懇談の席で開口一番、「自分の子どもたちをここで学ばせたい」。多分にリップサービスも含まれていただろうが、それだけではないように思えた。

 新自由主義のもとで幼い頃から競争を強いられ窮屈な学校生活を送る南の子どもたちを「不幸だ」と表現する一方、在日同胞生徒について、「自由で枠にとらわれない感性がすばらしい」とも話していた。

 生まれながらに引き裂かれた存在であるがゆえに、国や民族といった問題に正面から向き合う。北と南を知り、日本で国と国、民族と民族の間を生きる稀有な存在だとあらためて感じる。そんな彼らだからこそ、統一時代において輝きを放つはずだとの南側代表団の発言に納得。

 懇談も終わりに近づき、代表団メンバーが生徒たちに激励の言葉をかけた。

 女子生徒が最後に一言、「じゃあ私は南にいる親せきに電話して、選挙で民主労働党に投票するよう頼んでみます!」

 瞬間、一本取られたとばかりに、その場が大きな笑いに包まれた。

 代表団一行は、「在日生徒たちの力になりたい」と訪問中何度も繰り返していた。南における総連や在日同胞についての認識は決して十分ではないが、直に見て聞いて感じた人々が理解を深める役割を果たしてくれたらと思う。民族教育は代を継いで守り発展させていくべき朝鮮民族全体の財産なのだから。(相)

[朝鮮新報 2007.1.23]