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「異文化」融和

 夫が飲食店を出店してから3カ月。このわずかの間にスタッフの半分が入れ替わった。厨房や重要なスタッフとして信じて重用した「ニューカマー・コリアン」たちが、たえず葛藤をひきおこすのである。何よりも「人」が大切、末永く家族のようにと願っていただけに、この展開は本当に寂しかった。

 彼女たちの文化は、同じ民族というけれど、日本の空気の中で文化を形成してきた私たちとはまったく異質のものであった。直截な感情表現。独特の思考回路。人心をかく乱する権謀術数…。

 彼女たちの境遇は、留学やキャリアや結婚で根を下ろそうと決めた人々と違い、厳しいものである。その点も含めていっそうあたたかく理解し力を合わせていきたかったが、叶わなかった。好意が通じないという辛さ。

 同じ女だから、民族だからと、理想をたえず胸に灯そうとしてきた子どもっぽくお人よしだった私も、きれいごとではゆかぬ世界をはじめて実感した。人に使われるより使うことの難しさも。

 小さな店の中にさえ乗り越えがたい人間同士の葛藤があるというのに、普段は念仏のように世界規模での平和を口にしているのである。異なる文化、価値観の人々との融和を図るためには、どんなやり方があるだろう?

 振り回されて一時は安倍晋三なみに「嫌韓」に傾き、娘にさえ「一般化はいけない」とたしなめられるほど疲れ果てた私の心も、意欲的で優しい新たなスタッフに恵まれてようやく元にもどった。試練は、私を少し成長させたかもしれない。(朴才瑛、女性問題心理カウンセラー)

[朝鮮新報 2006.4.26]