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世論誤導−政府、メディアの一体化

 朝鮮のミサイル発射訓練を千載一遇の機会ととらえて、日本政府は朝鮮への9項目の制裁措置を発表、あたかも臨戦態勢のような構えを取った。さらに、国連安保理で北への軍事制裁を求める米国ボルトン国連大使との二人三脚の執拗な動き。いかに日本当局が戦争を欲しているかを満天下にさらすものとなった。

 そのうえ、日本のメディアは、政府以上に戦争熱を煽った。連日北への敵意剥き出しのキャンペーンが続いた。朝日新聞の社説に至っては「一連の(北の)行動は、『ならずもの国家』と呼ばれても仕方あるまい」(7月6日付)などとネオコンと同じ底意を露わにした。各紙の反北感情誘導の結果が世論調査によく表れている。政府の制裁措置を92%が支持、国連安保理への制裁決議案にも90%が支持するという数字が出た。

 それにしてもおかしくないか。米国の後押しを受けて、連日、レバノンを空爆、無辜の人々、子どもたちを虐殺しているイスラエルにはなぜ、政府もメディアも沈黙するのか。実際の殺りく行為には目を背け、北の「軍事訓練」にだけヒステリックな大合唱を浴びせるその不条理。「恐るべき二重基準だ。米国こそ世界最凶の『ならずもの国家』、日本はその『一の子分』と呼ばれても仕方あるまい」(山口正紀氏=週刊金曜日7月28日号)との批判は当然であろう。

 日本は19世紀末から20世紀半ばまで数々の悲惨な侵略戦争を行い、アジアだけでも2000万人以上の犠牲者を出した。その過程で行われたのは政府、軍一体となった「歴史の偽造」であり、新聞、雑誌、学校教育を通じた世論操作、誤った歴史認識の流布であった。同じ過ちが今また、繰り返されようとしている。(粉)

[朝鮮新報 2006.8.7]