「少子化問題」−社会で分かち合う子育て |
国家の存亡を左右しているのは、いまや少子化(出生率の低下)問題ではないかと、日本や韓国で、喧しい議論が起きている。朝鮮でも近い将来、同じような問題が発生する可能性も高い。 昨年平壌に滞在したとき、働く女性たちに聞くと、ほとんどが「子どもは一人でいい」と言っていた。統計上はもう少し数値が高いはずだが、習い事など教育にかかる投資や女性の生き方の選択肢も広がり、都市での少子化は相当進んでいると実感した。 日本の「将来推計人口」(02年)では、20歳前後の女性の6人に1人(現在は20人に1人)が、生涯結婚せず、3割以上(現在は1割)が子どもを持たないことが推計されている。これは、歴史的にも例のないショッキングな数字であり、社会の根本を揺るがす問題であろう。 なぜ、このような現象が続くのか。1つは社会、経済の変化が背景にある。経済変化による働き方や消費生活、男女、家族関係などの社会関係や価値観の多様化などが指摘されている。自己実現の道を、それぞれが決められるようになったということ。その反面、将来に不安を抱えている人が多いのも、要因の一つだ。日本の自殺率は8年連続年間3万人をこえ、高齢化が激しい勢いで進んでいる。年金、医療、介護などの負担も高まる一方だ。暗澹たる将来像を見すえれば、結婚して、子どもを産み、育てることに躊躇するのも理解できる。 在日の社会も傍観者ではいられない。女性同盟や青商会を中心に、さまざまな子育て支援プログラムを実践中だ。何より「子育ては幸福感をもたらす」ということを同胞社会全体で分かちあいたい。(粉) [朝鮮新報 2006.6.19] |