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「社説」−「古傷に塩をぬりつけるな」

 「朝日新聞がおかしい」。こんな声をよく聞く。9.11事件後、米軍のアフガンへの一方的な空爆を肯定する社説を書いて、戦争を防ぐどころか戦争を追認してきた。

 そんな同紙が新シリーズ「新戦略を求めて」(4月23日付)をスタートさせた。筆者の論説主幹・若宮啓文氏の親米ぶりが際立つ記事だ。

 「日本が今後も米国との同盟を軸にすべきなのは疑いない。自由経済の中心であり、いざとなれば身を賭して民主主義を守る米国である」−。いまどき、こんなことを恥ずかしげもなく書くか! ブッシュやラムズフェルドのでたらめな定義でどれほど多くの人々が殺されたか。「文明対野蛮」の戦争によって、虫けらのように駆逐された人々の無念、怒りを想像してみるがよい。

 思い返せば、朝鮮戦争もベトナム戦争もみんな米国の自由と民主主義の旗の下に行われ、その漁夫の利を貪ったのは、日本であった。日本の「新戦略」を探ると言うが、米国の戦争に荷担して、世界中の非難と嘲笑を浴び続けるのか、という問いに応えず、何を論ずるというのか。

 同紙はさらにこの日の社説で、独島問題に触れて「侵略戦争で確保した占領地について権利を主張する人たちがいる」という盧武鉉大統領の発言に対して、「『侵略』とかいう過激な言葉が飛び交うのはなんとも情けない」と難癖をつけた。独島は「日本の朝鮮半島侵奪の過程で最初に奪い去った歴史の土地」(盧大統領)である。日本の植民地下で払ったその後の多大な犠牲に対する「恨」は、民衆の記憶の底に沈殿したままだ。侵略した側が無神経にも、その歴史の古傷に塩を塗りつけるとは。メディアは、権力と共犯関係であってはならない。(粉)

[朝鮮新報 2006.5.1]