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「ぞうさん」−大好きな者と一緒に

 まどみちおの有名な童謡詩に「ぞうさん」という作品がある。「ぞうさん ぞうさん おはなが ながいのね そうよ かあさんも ながいのよー」。先日、3歳の甥っ子が元気にこの歌をうたっていた。ちなみに2番の歌詞は、「ぞうさん ぞうさん だれが すきなの あのね かあさんが すきなのよー」。

 筑摩書房刊「まどさん」によると、「ぞうさん」という呼びかけから始まるこの詩は、その呼びかけが人間の子どもから発せられたものなのか、ぞうの友だちである動物から発せられたものなのかは定かでない。しかし、ぞう以外の誰かが話しかけ、それにぞうが応答するという形式で詩が構成されている。「おはなが ながいのね」との状況確認には、「(わたしと違って)ながいのね」という意味が含まれている。これが不思議がっているのか、感心しているのか、皮肉を込めて発せられたものかはわからない。とにかく、「地球上のほかの動物とは明らかに異なった鼻だね」という外見の特徴について尋ねている。これにぞうは、「そうよ かあさんも ながいのよ」と応答する。これは単純な遺伝上の話ではなく、長い鼻がほかでもない大好きなかあさんと一緒であることをうれしく思っているとの想いが込められている。それが明らかになるのが2番の歌詞。

 無邪気な在日の子どもたちもいつか「周りと異なる自分」を認識するときが来るだろう。そんな時、「大好きな者と一緒」という安心感を与えてあげたい。チョソンサラムとしての誇りと勇気を同胞たちとも分かち合いたいものだ。(潤)

[朝鮮新報 2006.4.24]