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在日2世の想い−オモニも夜間中学へ

 先日、57歳にして神奈川大学を学業成績トップの最優秀学生として卒業し、第2経済学部経済学科の総代として舞台に上がった、神奈川県横浜市在住の在日同胞2世、朴淑子さんが大きく取り上げられた(本紙3日付7面参照)。彼女のオモニ、趙尚連さん(85)もまた、70歳で横浜市立平楽中学校夜間学級を卒業した経歴の持ち主である。

 1921年、慶尚南道馬山で生まれた趙さんは、19歳で夫を頼り玄界灘を渡った。「実家は下男を何人も抱えていてそれほど貧しくはなかったけど、女は外に出るもんじゃないと言って、親は学校に通わせてくれなかった」。趙さんは夫とともに鉄屑業を営みながら5人の子どもに民族教育を受けさせた。

 文字の読み書きができなかった趙さんは、横浜に移り住み、中華街で働くようになってからも、接客はせず、厨房の奥で皿洗いをしていた。

 「オモニはとてもきれいな人だった。店長はお客さん相手に注文をとるよう何度も言ったが、文字が書けないので断っていた」。そんなことから朴さんは嫌がる趙さんを連れて夜間中学の門をくぐった。最初は「還暦を過ぎた親に恥をかかせる気か!」と怒っていた趙さんだが、しわの刻まれた手を取り、文字をひとつずつ丁寧に教えてくれる先生たちに次第に心を開いていった。

 「今でもローマ字は読める」。これは趙さんの自慢である。娘の大学卒業の日、華やかな民族衣装を身にまとったその姿に、趙さんは思わず涙した。

 朴さんの大学卒業には、在日1世女性たちの悔しさを間近で見てきた2世の想いも込められていたのかもしれない。(潤)

[朝鮮新報 2006.4.10]