独映画「白バラの祈り」−心を曲げず、まっすぐに |
日本の友人からの勧めでドイツ映画「白バラの祈り ゾフィー・ショル 最期の日々」を観た。 90年代に東ドイツで発見されたゲシュタポの尋問記録によって、初めて詳細が明らかになった実在の女性ゾフィーの反戦、反ナチスの闘いを静かに描く。 43年のミュンヘン。当時21歳の大学生だったゾフィーはヒトラー独裁政権下の末期的状況を訴えるビラを、大学構内で撒いて、兄とその友人と共に、ゲシュタポに逮捕された。地下組織グループ「白バラ」のメンバーの一人として。 映画のほとんどの場面が拘置所と取調室での迫真のやりとりである。ゾフィーはどんなに脅されても、懐柔策を持ち出されても、屈せず反ナチの信念を貫いた。そして、軍事法廷で、元共産主義者で、ナチスに鞍替えした裁判官の手で死刑判決を受け、3時間半後にギロチンで処刑される。ドイツ降伏の2年前だった。 ゾフィーと重なるのが、やはり、日本の植民地支配に抗い、3.1独立運動に参加して激しく闘った朝鮮のジャンヌ・ダルク、柳寛順である。 梨花堂(現、梨花女子大学)在学中の16歳の少女だったが、デモの先頭に立ち、彼女は首謀者として逮捕され、懲役刑の宣告を受けた。しかし、獄中でも「日本にわれわれを裁く権利はない」と主張。そのためたび重なる拷問を受け、ついに西大門刑務所で獄死した。わずか18歳の若さ。最期の叫びが「日本は必ず亡ぶ」だった。 柳寛順とゾフィーの「心を曲げず、まっすぐ生きる姿」。時代や国境を越えて、2人の女性の生の輝きは人々の心を捉えて離さない。(粉) [朝鮮新報 2006.3.6] |