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歴史は巡るというが、今日の日本の政治状況は在日1世たちが体験してきたかつての時代を彷彿とさせるという話をよく耳にする。むろん、これまでも類似した出来事はあった。しかし、今年のそれは日本政府が主導しての、公然たる「圧力」という名の下の「抑圧」だっただけに、戦前のそれに近い ▼朝鮮が核実験に成功した直後、総聯結成以来、各機関、団体でがんばってこられた顧問たちが集まったある場で彼らが口々に語ったのは、なぜ核実験に踏み切ったのかという背景、そして米国に日本が加担しての封じ込め、圧殺政策に対する言及がまったくないことに対するいらだち、怒りだった ▼実はこうしたいらだち、怒りは何も在日同胞だけに限られたものではない。あるジャーナリストは「事実を追求しても発表できる媒体がほとんどない」と慨嘆する。上辺だけをなぞった際物、興味本位のワイドショー的な取り上げ方でないと、マスコミは取り上げようとしないというのだ ▼中堅の週刊誌記者は、デスクも了解したはずの政治ネタ記事の見出しが、発売号ではあたりさわりのない物に差し替えられていたことに言葉をなくしたという。抗議をしたものの後の祭り。取材相手からは、以後の接触を拒否されてしまった。マスコミが政府の言いなりになってしまうと異様な、異常な世論が形成されてしまう ▼しかし、同胞社会は逆風を跳ね返して中等教育実施60周年行事など、日本市民の合流の下に立派にやり遂げた。この力を糧に、来年も愛され役に立つ新報作りのために精一杯、まい進していきたい。(哲) [朝鮮新報 2006.12.25] |