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この国の支配層は、白を黒と言いくるめるようなことを日常茶飯事のように繰り返してきた。体質化して久しい。典型例の一つとしてよく指摘されるのが自衛隊の存在である。日本国憲法は軍隊の保有を禁止しているが、自衛という言葉を隠れ蓑にして「軍隊」を創設し、戦力を強化してきた。防衛予算は年々、上昇カーブを描き今では約5兆円にもなる ▼集団自衛権の行使も禁止されているが、湾岸戦争では機雷除去に海上自衛隊を、イラク戦争には「復興支援」という名のもとに陸上自衛隊を派遣した。共通の戦争、戦闘マニュアルを使った在日米軍と自衛隊の軍事演習は今や常態化している ▼先般の朝鮮の核実験と関連した「核保有国とは認めない」という首相以下、外相らの一連の発言も誤魔化しの手法だ。核実験を理由にして「ヒト・モノ・カネ」を遮断する制裁をしておきながら、「核保有国としては認めない」という立場は自家撞着もはなはだしい。支離滅裂である ▼支離滅裂といえば、国是の非核三原則は遵守するといいながら、核保有の論議は非核三原則に抵触しないと強弁し公然と口にする。その主張は日に日にエスカレートする一方だが、非核と核保有論議という二律背反の矛盾した論理、いったいどこに整合性を求めようとしているのか ▼どだい、当初から論理破綻をきたしている安倍内閣の有り様。だから憲法改正によって戦う日本への脱皮を目指しているのだろう。しかしそれは、かつての悲惨かつみじめな侵略の道を、性懲りもなくたどることになることを知るべきだ。(彦) [朝鮮新報 2006.11.8] |