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春・夏・秋・冬

 朝鮮の核実験(9日)の狙いなどについて、様々な意見や見方が溢れている。米国との直接対話云々とか、金融制裁解除など譲歩を引き出すためのものなどという目先にとらわれたものが主流だ。が、その水準では朝鮮の意図はわからないだろう

▼朝鮮が50年代から核エネルギー確保のための研究活動を行ってきたことは広く知られた事実だ。また、核エネルギーが発電など平和利用もできれば兵器に転換できることも周知の事実だ。要は意思の問題。この2点を考え合わせれば、何も昨日今日、慌てていくつかの成果を得ようと実験に踏み切った性格のものでないことは一目瞭然。この視点が欠落している

▼核問題、対米関係において、朝鮮にはいくつかの節目があった。核不拡散条約加盟(85年)、朝米基本合意文(94年)、共同コミュニケ(00年)の調印、6者会談参加と9.19共同声明発表(05年)などだ。核兵器を保有しないことを鮮明にして平和利用権利を獲得。次に核活動凍結の見返りとして軽水炉2基の提供、国交樹立まで約束しあった

▼だが、これらの約束はブッシュ政権によってすべて覆された。それでも一縷の望みをかけた6者会談、「言葉対言葉」「行動対行動」の対等原則による共同声明も金融制裁によって棚上げされてしまった

▼朝米は戦争を一時中断した状態(53年の朝鮮戦争停戦協定)。一方は数万発のあらゆる種類の核兵器を持ち、朝鮮での使用を前提にした軍事計画を立案、実践演習を毎年行い朝鮮潰しを公言してきた。朝鮮が核実験に踏み切らざるをえなかった背景である。(彦)

[朝鮮新報 2006.10.13]